Executive MBA

次世代経営の担い手を真に教育する場を目指して

Executive MBA(EMBA)設立の原点

KBSは、経営人材を育成するため1962年に設立され、エグゼクティブセミナーや2年制のMBAプログラムを提供してきました。一方で、近年はアメリカやヨーロッパに加え、韓国、中国や東南アジアの各国でも、エグゼクティブを対象としたMBAプログラムが次々と開設され、多くのMBA学位を持った方々がグローバルなビジネスリーダーとして活躍しています。

今後、さらにグローバル化が加速する中で、日本企業が海外企業と交渉するとき、経営を専門的に学んだ異文化の人たちに対応する機会が増えていきます。そうした交渉相手と対等に議論できる中核経営人材を育成するプログラムが根本的に不足しているのではないか、それがKBSのEMBAプログラム構想の原点です。

もちろん、各企業において様々な人材教育が行われていますが、日本では長期的な雇用慣行やOJTに基づいた教育体系が中心となり、担当部門での経験をベースとして経営を担う人材を育成する、という場面が多くみられます。しかし、グローバルな経営環境には多種多様な価値観が混在しています。その中で、他者の意見に耳を傾けると同時に自らの考えを堂々と発信できる力は、社内や同じ業界の人たちとの交流からではなく、異業種・異職種、そしてできれば異文化の人たちが集まる環境の中で、体系的に経営全般を学ぶ過程から養われていくと私たちは考えています。

自社や自分の部門だけでなく、日本の経済社会全体をどう先導していくかを構想できる中核人材を増やしていかなければ、これからのさらなるグローバル化の波の中で日本が埋没してしまうという危機感があります。「教育」「研究」、そして「交流」を使命とするビジネススクールは、そうした人材の育成に率先して取り組む使命があると考えています。

職務との両立を前提とした「職務経験15年相当以上」の厳密な条件

私たちはEMBAプログラムへの出願条件として、職務経歴15年相当以上が必要と定めました。本プログラムは経営の中核人材の育成を目的としており、一定以上の実務経験を持ち、将来的に各企業または組織の中核を担う存在として貢献意欲が高く、また、日本の経済社会の将来について深い問題意識をもっている方々に集まってほしいと考えています。

経営の基礎から応用までを徹底的に学び、議論する

豊富な職務経験を積んだ方でも、1年目には基礎領域全8分野のコア科目から、ケースメソッドを通じてもう一度、経営に必要な知識を体系的に学んでもらうことが必要です。こうした学習と、日々の仕事とを両立させながら、学んだ成果をすぐに実践し、一方で日々の仕事で直面する課題を学習に反映できる点にも、EMBAプログラムの特徴があります。

本プログラムは、仕事と両立しながら、基礎から応用までを徹底的に学び、議論するので、一般的なセミナーと比較すると、はるかに負荷の高いプログラムです。その負荷を乗り越え、本プログラムを通じて、自分自身がどういうリーダーになりたいかを、もう一度ゼロベースで見つめ直してほしいと思っています。そうしたタフさを理解したうえで、企業もしくは組織の中核を担う人材になるという志や使命感を持ち、真剣に学ぶ意欲のある方々が集まることを期待しています。

地球規模の視点で長期的に経営を最適化する

EMBAプログラムでは、長期的な視点を重視しています。MBAというと、修了後のキャリアや昇格がしばしば話題になりますが、そのためだけに学位を取得するという近視眼的な考え方では、日本の経済社会を先導するリーダーになれるとは思えません。次世代、あるいは次々世代の日本そして世界がどうあるべきか、その中で自らの組織や業界はどう社会に貢献していくべきか、そのために自分の社会生活をいかに充実させていくか、そういう視点に立って経営を考える習慣を身に付けてほしいと思います。

同時に、地球規模の視点に立って課題に取り組んでほしいと考えています。これは単にコンテンツの英語化ということではありません。グローバルな社会の中では、日本だけでなく、世界各国・各地域がどのような課題に直面しているかを理解し、その課題にどう向き合い、自らが経営人材としてどう貢献できるかという視点をもつことが不可欠です。

これからの時代に求められるリーダーシップとマインドセット

これからのリーダーには、知識やスキルを越えた姿勢・態度、あるいは経営に対する情熱や使命感が一番大切だと考えています。グローバル化が進む中で、周囲の人を巻き込み、自分が適切と考えている方向に責任を持って組織を先導するリーダーが必要だからです。

しかし、学校のキャンパス内で勉強するだけでは、なかなか真の実行力は身につきません。EMBAプログラムでは、2年目に実際に企業の経営の内部に入り込み、その企業の今後の変革目標や長期戦略を練り、不足点あるいは改善点を調査し、社長や役員に最終提言をプレゼンテーションする「国内フィールド」科目を用意しています。この科目は、1年目に学んだ知識を実践的に活用しながら、オンサイトで調査検討を進める過程から、経営実務の問題発見・解決力に加え、実践力や責任感を体得してもらうことを目的としています。

もう一つ、これからの時代のリーダーに不可欠なのは、ビジネスと社会を両立させる視点です。短期的な利益だけでなく、社会とビジネスの両方を視野に入れて行動・意思決定できるリーダーが求められています。本プログラムでは、「ビジョナリー」科目や「海外フィールド」科目を通じて、ビジネスが社会に与えるインパクトを公正に評価し、プラスの価値を長期的に生んでいくようなビジネスを設計・構想し実現できるリーダーを育成していきます。

EMBAが求める理想のリーダーとは

異業種・異職種・異文化のバックグラウンドをもち、豊富な実務を経験した学生同士の議論は、教員からの一方向の講義よりも、はるかに大きな学び合いを実現する場になります。

グローバル化が進む中で、世界の標準を意識しながらも、日本やアジアに立地していることを強みとして経営の課題と展望を考え、分野横断的な知識体系と長期的な視点を備え、地球全体という視野で経営の舵をとり、さらには様々な業種・職種・年齢層の人たちを巻き込んで新たな構想を実現していくリーダーたち。そういうエネルギーある人材を、EMBAプログラムから生み出していきたいと考えています。