慶應義塾大学ビジネス・スクール主催 フォーラム 新興国・途上国ビジネスとリスクマネジメント 開催報告

 「新興国・途上国ビジネスとリスクマネジメント」フォーラムは、3月4日(月)、7日(木)の2日間にわたり、東京丸の内にて開催されました。グローバル展開している企業のビジネスパーソンを中心に、両日で約150名の多くの皆様よりご参加いただきました。

本フォーラムの最大の目玉は、現在日本企業の注目を集めている2つのテーマ「企業のリスクマネジメントと事業継続」、「新興国・途上国への事業拡張における戦略的意図の重要性」について、各テーマを専攻するKBS教員が深く追求する講演です。

企業のリスクマネジメントと事業継続
大林 厚臣教授

大林教授は講演の中で、グローバル化の中でのリスク管理の留意点について、以下のように整理・提言しました。

1) 日本のリスクマネジメントは自然災害対応に力点が置かれているが、欧米では自然環境は比較的管理しやすい地域が多く、むしろテロリズム等を含む人的災害に対するリスクマネジメントが主流である。世界各地でリスクに関するプライオリティーが異なることを認識すべきである。

2) 東日本大震災の振り返りから、日本企業はリスクの原因に遡った予防(上流対応)に注力していることがわかる。しかし、想定外の事態や予防の失敗に備えるには、欧米流に事後対応策としての経営資源の被害予防(中流対応)や事業被害の予防(下流対応)にも意を用いるべきである。

3) リスク関連情報は、単一情報源に頼ることなく様々な相手から収集することが重要である。また情報伝達についても、伝達先の属性に応じてタイミング・精度・内容等に十分留意する必要がある。

新興国・途上国への事業拡張における戦略的意図の重要性
岡田 正大准教授

続く岡田准教授の講演では、新興国・途上国への事業拡大に関わる以下の点に言及しました。

1) 最近新興国・途上国で発生した事件等から得られた、多くの教訓を今後に生かさねばならないが、他方で新興国・途上国への事業拡大は日本企業にとって必然的戦略であることに変わりはない。

2) 世界各地域と新興国・途上国の潜在力を比較すると、BOPを有する新興国・途上国には事業機会が豊富にある。

3) 「場」か「個別企業の力」か、という議論はRumeltの論文以来様々になされてきたが、金融業を含むサービス業を除くと、事業をどこで展開するか(「場」)よりも、「個別企業の力」が事業の成功のカギになることが実証されており、なかでも「戦略的意図」が重要な位置を占める。

4) これからの日本企業に求められる5つの戦略感覚は以下の通りである。大企業を含め、発想の転換が必要となる。①日本中心主義から能力中心主義へ  ②地球規模の皮膚感覚へ ③戦略的意図の重要性 ④共有価値概念の理解とアプローチ ⑤「心地よい領域」から踏み出す覚悟

2つの講演終了後には、参加者の皆様と教員の間で活発な質疑応答が行われました。またフォーラムの最後には、KBSが昨今のグローバルなイシューへの関心の高まりにお応えして2013年度新たに開講する2つのセミナー「グローバル競争力セミナー」「グローバルエグゼクティブ・セミナー」の紹介を行い、参加者の皆様より高いご関心をいただきました。

今回のフォーラムを通じ、KBS教員の最先端の研究成果を広く社会に伝え、実際の経営現場で活躍されているビジネスパーソンの皆様と活発な議論・交流を行っていくことの重要性を強く感じました。2013年度からは、KBS教員を講師とした公開講座を順次開始いたします。(詳細は後日ホームページに掲載)今後ともKBSの活動にご注目ください。

日時 <第1回>2013年3月4日(月)19:00~21:00(18:30開場)
<第2回>2013年3月7日(木)19:00~21:00(18:30開場)
※第1回目と第2回目の内容は同じです。
会場 東京21cクラブ(新丸の内ビルディング10階)
参加費 無料
定員 各100名 [先着順]
申込締切 <第1回>2013年3月1日(金)13:00
<第2回>2013年3月6日(水)13:00
※申込受付は終了しました。

プログラム

※第1回目(3月4日)と第2回目(3月7日)の講演内容は同じです。

19:00~19:40
(40分)
講演1 | 企業のリスクマネジメントと事業継続
大林 厚臣教授
リスクマネジメントにおける最優先課題は、生命の安全の確保である。しかしそれに続いて、組織にとって真に重要な業務の継続も求められる。事業やサプライチェーンのグローバル化は、企業にリスクマネジメントの高度化を迫っている。
19:40~20:20
(40分)
講演2新興国・途上国への事業拡張における戦略的意図の重要性
岡田 正大准教授
途上国・新興国への事業拡張は、日本企業にとって重要な選択肢である。先進国市場での慣れ親しんだ事業環境にはない多様なリスクに対応しつつ、いかに自社固有の強みを活用した戦略を構築するのか。その戦略構想のための枠組みを明らかにする。
20:20~20:40
(20分)
ディスカッション・質疑応答
参加者の皆様とのディスカッションを通じ、より問題について深く検討します。
20:40~21:00
(20分)

KBS主催セミナーのご案内
昨今のグローバルなイシューへの関心の高まりにお応えし、2013年6月、7月に2つのセミナーを開催します。

グローバル競争力セミナー

グローバルエグゼクティブセミナー

講師

 大林 厚臣
慶應義塾大学大学院経営管理研究科 教授
2013年度 KBS×ESSEC共催 グローバルエグゼクティブ・セミナー 主管

日本郵船勤務を経て、シカゴ大学より行政学博士号を取得したのち、慶應義塾大学ビジネス・スクールにて経済学および意思決定の授業を担当する。専門は、ミクロ経済学、産業組織論、リスクマネジメント。この間に、スタンフォード大学客員助教授、慶應義塾大学グローバルセキュリティ研究所上席研究員を兼任する。危機管理に関するさまざまな政府委員を務め、現在は、内閣官房情報セキュリティセンター共通脅威分析及び分野横断的演習検討会(座長)、内閣府事業継続計画策定促進方策に関する検討会(座長)などを務める。

 岡田 正大
慶應義塾大学大学院経営管理研究科 准教授
2013年度グローバル競争力セミナー 主管

専門分野は企業戦略理論および開発途上国における事業戦略構築。包括的(BOP)ビジネス企業戦略フォーラム主宰。経済産業省「BOPビジネス支援センター」運営協議会委員、同省「新中間層獲得戦略研究会」委員、同省「アフリカビジネス研究会」委員を務める。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。(株)本田技研工業を経て、慶應義塾大学経営学修士(MBA)。Arthur D. Little(Japan)を経て、米国Muse Associates社フェロー。オハイオ州立大学経営学Ph.D.

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