KBS生活2年間の過ごし方

KBS 2年生が見つめるもの

学生1人1人の目的と夢に応じて学ぶKBSの2年間。ゼミ活動に加え、単位交換留学、修士論文執筆や就職活動、修了後のキャリアに向けた準備を行っている2年生の4人が集結。それぞれ何を考えて学び、どのような未来図を描いているかについて語り合いました。
本インタビューは2021年度MBAプログラム案内に掲載されたものです。

私たちがKBSで学んでいる理由

平野皆さんはなぜKBSで学んでいるのですか?私は不動産業を営む家業の事業承継にあたって、経営者としての自信と自覚を得るために入学しました。

細沼私は大学卒業後よりコンサル会社で働いていたのですが、ビジネスに関する自分の知識や見識に関して少々物足りなさを感じていました。そこで30歳を過ぎたとき、自分のキャリアを振り返り、腰を据えてビジネスを体系的に学べる環境を求めてKBSの門を叩いたのです。

奥山私の前職は企業の通訳業務。経営者の意思決定の場面に立ち会うことも多く、自分でも経営に関わる仕事をしてみたいと考えるようになりました。MBA取得に加え、慶應義塾ならではの幅広い人脈も求めてKBSに入学しました。

私は母国の大学で日本語を専攻しました。日本という国への興味は、やがて日本と中国を結ぶビジネスのために起業したいという夢に発展していきました。そして日本で定評があるKBSでMBA取得を目指すことがその近道だと考えたのです。中国でもKBSの評価は高いですよ。

平野入学直後から徐さんの日本語はさらに上達していますね。

ありがとうございます。KBSに在学中、2つの企業でインターンシップを経験したことが日本語の習得に大いに役立ちました。やはり語学も実践ですね。

細沼KBSに入学してまずインパクトがあったのは、オリエンテーションで受け取った大量の教科書でした。この量を全部こなすのかと思うとかなりのプレッシャーでした。第一、家に持って帰るのにすごく重くてとても苦労しました。思わず家で積み上げて写真を撮りましたよ。入学合宿の経験もインパクトがありました。先生方は私たち学生に課題に対して徹底的に考え抜くことを求めます。大学や会社員だった頃にもあれほど自分を追い込んで、深く考える経験はなかったかもしれません。

奥山確かにそうでしたね。合宿では入学直後だったこともあり、最初はお互い知らない者同士ということで緊張感もありました。でも私はつらいとは思わなかったです。新しいことが始まる期待の方が大きかった。

細沼さらに、学生をロジックでとことん追い詰める先生ばかりで(笑)。でも、あの経験があったからこそ、その後のMBAプログラムを学ぶ基盤ができたことも確かです。

平野確かにその厳しさのおかげで、自分の論理やコミュニケーション能力の足りない部分が見えてきました。

細沼それは私もありました。大学卒業後は会社で実務をしていたので、1年次で学術研究をベースにした頭の動かし方に慣れるまでには少々苦労しました。アカデミックに学ぶためのトレーニングが足りていなかったのですね。

私は大学卒業後に入学したので、その点は違和感がありませんでした。実務的・実践的な学びはそうしたアカデミックな基盤の上に成立するものだと思うのです。

平野そのとおりですね。KBSで学ぶとそのことを身にしみて実感するようになります。

留学以外でもグローバルに学べる

平野細沼さんと奥山さんは2年次に国際単位交換プログラム(IP留学)(P12参照)を経験しましたね。

奥山はい。私の場合、アメリカで学士を取得したこともあって、KBS入学当初からIP留学を希望していました。行き先は自分が知っているアメリカではなく、新しいチャレンジとしてあえてドイツを選びました。

平野TOEFLなどの英語力を測る試験は受けましたか?

奥山なかなか自分が考える目標のスコアに到達しなかったので、留学までにTOEFL試験は5回も受けました。

細沼私は入学当初は留学するつもりはありませんでした。ただ1年次に学んでいるうちに「日本のMBAと欧米のMBAは同じなのか、違うのか?」という疑問が生じてきました。だったら自分の目で確かめようと思い、IP留学をする決心がつきました。

平野実際に海外で学んで「日本のMBAと欧米のMBA」に違いはありましたか?

細沼組織としての規模はKBSを含む多くの日本のビジネススクールより巨大でした。しかし、指導内容のクオリティに関してはKBSと変わらないと感じました。

奥山私もそう思います。スタートアップなどのビジネストレンドのとらえ方も日本と欧米ではそれほど変わりません。また、KBSでの第一線の企業人を迎えて行われるケースメソッド、グループワークによる学びは十分世界で通用すると実感しました。私が感じた欧米と日本の差は、オンラインを使ったリモート学習が日本より広く利用されていたことぐらいですね。

細沼そう、日本で取得する「MBA」の価値についての疑いが払拭され、留学を契機にMBA学位を取得した者としてグローバルに勝負できる自信が芽生えました。

私は就職活動との兼ね合いを考えてIP留学には行かなかったのですが、お2人の話を聞いていて少しうらやましくなりました。でもKBSの専門科目の「アジアビジネス・フィールドスタディ(CKJ)」で中国や韓国のMBA生たちと一緒に企業訪問をし、ディスカッションした経験は、「日中を結ぶ起業」という私の夢の実現に大きなヒントを与えてくれました。

奥山私も参加しました!現地のビジネスをリアルに感じることができて得難い体験になりました。

平野そう、KBSには留学以外でもグローバルな体験をできるチャンスがたくさんありますね。私もゼミ合宿で中国・深圳にある大手ドローンメーカーなどを企業訪問しました。

細沼その時は徐さんの知人経由で、通常ではなかなか見聞できない最先端企業を訪ねることができましたよね。

平野ええ、また別の訪問先企業にはKBSの卒業生の方もいらっしゃって、私たちを歓迎してくださいました。そうした国境を超えた人脈が築かれていることもKBSの強みかもしれません。

チャレンジを応援するKBSの“文化”

平野KBSには様々な“課外活動”もありますよね。私はこの1年「学年代表」を務めさせていただきました。これは自分をリーダーの位置に置くことで、リーダーシップを養わんと思ったためでした。

平野さんはとても素晴らしい私たちのリーダーだったと思います。

平野ありがとうございます。この経験でリーダーというのは、単に統率力の問題だけではなく、みんなに「コイツが言うことだったらしょうがない」と納得してもらえる人間的な懐の深さみたいなモノも大切だと悟りました。

細沼なるほど、確かに。ついていきたくなる人柄ってありますよね。

平野徐さんはKBSの美化委員として施設美化活動を率先して行ってくれましたね。活動を通して学んだことはありますか?

はい、学生自治の経験を通して構成員一人ひとりのモラルや責任感について考えましたし、年齢やダイバーシティについての視野が広がりました。何より、様々な経歴を持つ多くの方とお話しできたことが良かったです。

奥山私はKBS在校生により運営される若手同窓会「KBS若き血会」実行委員を務めました。様々なイベント運営は企業でも活かせる経験だと思いましたし、私自身楽しんで取り組むことができました。

細沼私は国内のビジネススクールの学生チームが競う「日本ビジネススクール・ケース・コンペティション(JBCC)」などのビジネスコンペへの積極的な参加が良い経験になりました。JBCCへの参加を通して他のビジネススクールとの交流の機会ができたことも良かったです。KBS内のビジネスコンペではシリコンバレーへのビジネス視察旅行を賞品としていただいたことも良い思い出です。ビジネスコンペや海外での学びのチャンスなど、KBSには学生が様々なチャレンジをしやすい環境が整えられていると思います。

平野先生方はもちろん学生同士でも、KBSには誰かのチャレンジを応援しようという“文化”が根付いていますよね。

細沼そう、だから自然と新しいことに挑戦しようという気持ちになれます。

奥山たとえ挑戦に失敗しても得るものはたくさんあります。学生だからこそたくさん挑戦することができて、失敗を重ねる中から学ぶことができると思うのです。

平野そうですよね。私たちは「自分にはまだまだ足りないモノがある」と思ったからKBSに入学したわけで、何でも失敗せずにできるのなら、そもそも学ぶ必要なんてないのですから。

細沼新しい知見を得ようとする際、KBSというビジネス・スクールの範疇を超えて、慶應義塾大学という総合大学の環境があったことも、挑戦の幅を広げてくれる要因になりました。最近、量子コンピュータのことを調べていたら矢上キャンパスの理工学部の研究室で取り組んでいることが分かり、問い合わせてみようかなと思っています。

進むべき道とMBAの誇り

平野細沼さんと奥山さんはIP留学中に修士論文の作成準備をされていたのですか?

奥山はい。私は大学生の時に卒業論文を書いていないので、研究論文をうまく書き上げることができるのかという不安が常にありました。だからドイツからゼミの先生に何度もメールやスカイプで相談に乗っていただいて……。先生は「焦ることはない」と励ましてくださいましたね。

平野修士論文に関しては、先生と密にコミュニケーションを取ることは大切です。国内にいてもそうなのですから、海外だと余計そう思うでしょうね。

細沼私はオンラインでフランスからゼミに参加していたので、ゼミの先生や学生仲間とのコミュニケーションは問題ありませんでした。ただ時差がありますから、早朝からの参加は大変でした。KBSの先生方は修士論文の相談などをすると実に親身で面倒見が良く、留学中も何度も助けていただきました。

平野遠隔学習の環境が整ってきたことで、海外留学中でもKBSの先生や仲間と“一緒に学ぶ”ことができるようになっているのですね。

奥山それはありますね。でも、オンラインを通してラウンジにみんなが集まって楽しそうに話し合っているのを見るとうらやましくて。

平野確かにそれはあるかも。ゼミだけではないKBSの仲間との交友もここで学ぶ重要なモチベーションですからね。2年次は学びながら修了後のキャリアを決める年でもあります。皆さんの就職活動についても聞かせてください。

私は就活前に大手とベンチャーの2社でインターンシップを経験しました。あえてタイプの異なる企業で働くことによって、日本のビジネスを効率的に把握できると考えたのです。

奥山私はIP留学したこともあって、在学中にはインターンシップを経験できなかったのですが、徐さんは自分のもくろみ通りのインターン経験ができましたか?

はい。ゼミで学んでいる統計・データの重要性をそれぞれの企業で確かめることができたのも収穫でした。就活は将来的な起業を踏まえて金融業界とコンサル業界が中心で、最終的に大手の総合コンサル企業への就職が決まりました。業務を通して、いろいろなタイプの企業を知ることができるので今から働くことが楽しみです。

細沼私も卒業後はコンサル業界に復帰します。1年次でアカデミックの基礎を築き、2年次でIP留学を交えてグローバル基準の財務会計や企業戦略を極めたKBSの経験で、自分の人材市場での価値が格段に高まったことを実感しています。

奥山確かにMBA修士課程を2年間学ぶことで、ビジネスを見る視点が多様になり、広がったという実感はありますね。私はこれからますます面白くなる製薬など医療関係の企業で海外展開の仕事をしてみたいと考えています。

今後、医療系ビジネスはますます面白くなりますよね。私の心残りは「病院経営」の授業を取れなかったこと。面白い授業がたくさんありすぎて、2年では足りないぐらいでした。

平野私も無理してでもIP留学に行けばよかったかなと思うことがあります。やはり「留学」って学生でないとできないことですから。でも、この2年間の学びと経験で経営者としてのマインドセットができ、入学前の不安や自信のなさはほぼ払拭できたことは確かです。同時に今後事業を継承する会社でMBAの学位取得者を雇用したいと思うようにもなりました。特にグローバルな事業拡大においてMBAの学位取得者のパフォーマンスが必要不可欠に思えます。

奥山私もそれは同感です。財務、会計、企業戦略などビジネスを見る視野のポイントが広がります。

私も将来、KBSの後輩と一緒に仕事ができることを夢見て、日本での起業に向けて頑張りたいと思います。

2年間のスケジュール

1年次

基礎科目

総合的経営管理能力の基本となる主要8領域

経営に関する領域を8つに分けて、基礎科目が配置され、全員が必修科目として学びます。1年次後半からはそれぞれの領域に専門科目が配置され、必要な科目を自ら選択して履修します。

  • 会計管理
  • 組織マネジメント
  • マーケティング
  • 経済・社会・企業
  • 財務管理
  • 生産政策
  • 総合経営
  • 経営科学

入学合宿 4月上旬:5泊6日

同期の仲間や教員とほとんど初対面で行われる合宿形式の授業は、本研究科の勉強に浸っていく絶好の機会です。
通常と同じ時間割構成でグループディスカッションとクラスディスカッションが進みます。毎晩グループ室や自室で予習に励み、翌日に備えます。
様々な職場や環境から入学した、年齢も立場も違う学生が、KBSに集ったことを実感できる導入合宿です。

2年次

専門科目

多彩な専門科目を通じて専門性を強化する

2年次の授業は学生1人1人の目的とニーズに合わせた学びを実現できる多様性と柔軟性があります。1年次に学んだ基礎知識を応用する授業から、国内外でのフィールドワークを伴う授業、外資企業の現役コンサルタントが小グループにアドバイザーとしてつき、グループワークを行う授業など、座学だけでなく実践的な授業が多岐にわたり用意されています。また、組織や職場における個人や集団の行動を解明するための心理学的な手法を学ぶ授業やタックス・プランニングの手法を学ぶ授業など、かなり専門的な内容の授業もあります。専門科目の授業数は約75あり、専門性を深く究めたいプロフェッショナル志向、経営に関する幅広い知識を得たいゼネラルマネジメント志向のどちらにも応える、豊富な科目群です。授業は英語で行われるものも複数あります。個々の学生は興味・関心に応じた、専門領域を深めるための科目を選択し、修了に必要な単位数を取得します。
なお、EMBAプログラムとのハイブリッド科目も受講することができます。

科目紹介(2020年度開講専門科目 講義要綱より一部抜粋)

IGPIリアルビジネス講座:企業価値・事業価値向上を目指して」(ハイブリッド科目)
清水 勝彦 教授

産業再生機構から受け継がれ、さらに進化を遂げたIGPI(経営共創基盤)のこれまでの経験、知見をもとに、シニアマネジャー・MDを中心に(最終日にはCEOの冨山和彦も登壇予定)企業の再生だけでなく、成長支援の現状、課題と方策を具体的に提示・議論する。

A.T.Kearney 実践コンサルティングプロジェクト
小幡 績 准教授

グローバル戦略コンサルティングファームでもあるA.T.Kearneyのコンサルティングプロジェクトに近いグループワーク体験を通じて、戦略コンサルタントのアプローチや頭の使い方を実践的に習得すると共に、将来の企業経営者として必要となるマインドセットや高い視座を身につけることを目標とする。4人程度の学生グループに対して1名のアドバイザー(A.T.Kearneyの現役コンサルタント・経験者)が担当し、グループワークに対するフィードバックやアドバイスを行うことで座学とグループワークのハイブリッドでの効果的な知識習得を目指す。

「戦略コンサルティング」
小林 喜一郎 教授・岡田 正大 教授

ボストン・コンサルティング・グループより講師を招聘し、コンサルティング現場の実例に基づいた講義を行う。経営の今日的課題を理解し、同時にコンサルティングの手法・アプローチ・頭の使い方を学ぶ。講義のテーマは、戦略コンサルティングの概要、マーケティング・営業戦略、プレゼンテーションテクニック、コーポレートガバナンス等を予定。

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