2011.03.25

東北関東大震災にあたって:研究科委員長からのメッセージ

今回の地震に直面して ― KBSの使命を考える ―

 3月11日の東北関東大震災により、数多くの尊い命が失われました。また、未だ多数の方々が避難所などでの辛い生活を強いられ、そのご苦労は、想像を超えるものがあると思われます。被災された方々に、心よりお見舞いを申し上げ、一刻も早い復興をお祈りいたします。

 そうした中でも、少しずつ支援の輪が広がり、電気・ガス・水道といったインフラ、医療品や生活物資の供給も、改善しつつあるとの報道を見聞きするようになりました。日本国内、そして海外でも、多くの個人、企業による被災地のための支援活動が行われています。また、危険が残る現場で命がけの復旧活動を続けている方々がいます。それぞれの立場で、最大限に尽力されているこうした皆様の思い、行動に心から敬意を表したいと思います。

 被災地の凄惨な状況が日々明らかになっています。一人の人間として、そして一つの組織の長として、自分にもできることはないかを考え続けています。しかし、KBSの本務である教育・研究活動は、中長期的な観点から社会に貢献するものであり、被災者の皆様に現時点で直接貢献できることは限られています。

 一方で、この国の復興を先導するリーダーシップの必要性も痛感しています。こうした極限状況にあっても人々を導くことのできるリーダーを育成することこそが、私たちの使命です。迂遠なようであっても、KBSは本来の使命であるリーダーの育成を着実に遂行していくべきではないだろうか。そのように感じるに至りました。

 これからも、日本で最も歴史と伝統のあるビジネス・スクールとして、教育・研究活動に専心することが、間接的とは言え、KBSが復興に向けて果たすべき役割であると考えます。特に今後の日本を考えるとき、教育や人材育成に携わる者の責任は、極めて大きいと認識しています。まだ不確定な状況ではありますが、KBSでは4月からのMBAコース、PhDコースの授業を、予定通りのスケジュールで開始することといたしました。また、社会人向けエグゼクティブ・セミナーも、当初の予定通り開講する予定です。KBSの教育活動が、被災地を、そしてこの国を復興させるリーダーの育成に貢献するものと信じています。また、経営学各分野において、この震災から真摯に学び、着実な研究活動を推進してまいります。

 私たち日本人が、そして日本の企業や組織が、必要以上に委縮することは、経済社会の復興を加速していく上で決してプラスにはなりません。個人も組織も、平時には当たり前として気付かなかった経済的恩恵に感謝し、一部の過剰な生活を反省すると同時に、与えられた使命を粛々と果たしていくことが、将来に向けて極めて大切であると考えています。
 

 日本経済の復興に向け、これからも様々な課題が待ち受けていると思われますが、今回の震災を、新たな日本の在り方を考える機会にすべく、KBSは日々の活動を続けてまいります。関係する企業の方々、KBS同窓会の皆様、海外の連携大学・機関のご支援を、また在校生の諸君、教職員スタッフの協力を、心よりお願い申し上げます。

慶應義塾大学大学院経営管理研究科 委員長
慶應義塾大学ビジネス・スクール  校長
河野 宏和

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