2016.04.20

平成27年度学位授与式 研究科委員長式辞

皆さん、本日は卒業おめでとうございます。皆さんの晴れやかな表情を見て、2年間の勉強の努力が報われたのだと改めて感じます。

皆さんはM37期の卒業生にあたります。KBSは1978年にフルタイムMBAプログラムをスタートしているので、その長い歴史のなかで卒業生は3千人を超え、K期と呼ばれる1年制プログラムの先輩を含めれば4千人近い卒業生を輩出してきたことになります。KBSはこのように伝統あるビジネススクールですが、日本のビジネス、あるいは日本企業の経営を考えたとき、歴史と伝統を持った学校を卒業したから必ず活躍できる、という保証はありません。世界のビジネスは凄まじいスピードで変化し、動いています。したがって、社会の変化を敏感に感じとる能力は必須ですが、同時に、そうしたトレンドに押し流され、新しいことを追い求めることだけが正解ではないと思います。KBSで学んだことを基礎的な視点として、皆さんがこれから実社会で学び経験していくことをこれまでの2年間の学びに付加し、それを日本あるいはアジアの発展の力となるように応用してほしいというのが私の希望です。

そのために、KBSではケースメソッドという方法で、実践的な教育を心がけてきました。ケースメソッドでは、クラスという擬似的な経営の場面で皆が議論しますが、もちろん実際の企業では、各人が意思決定に基づく行動の責任を取らねばならず、その意味で意思決定の重さが全く異なっています。その中で、皆のこれからの経験を各人の引き出しとして蓄積し、その引き出しを充実していくことで、意思決定力を高め、リーダーとして活躍していってほしいのです。KBSでは、ケースメソッドやゼミナールで、経験を引き出しに整理するスキルを学んだと思います。それをいかに生かしていくかは、皆のこれからの努力にかかっています。

卒業に当たって、いくつか伝えておきたいことがあります。1つ目は、リーダーとしての使命感や情熱の重要性についてです。KBSに在籍している間は、学生という立場で、知識やスキルを身に付けることに力点が置かれていたかもしれません。しかし、実際の企業や組織においては、自らの情熱や志がなければ、周囲の人たちを先導していくことはできません。KBSの授業でも様々なリーダーと接する機会はあったと思いますが、卒業すれば、ビジネスで成果を上げながら、自らが何に情熱を感じ、何を使命と考えてキャリアを積んでいくかを考えなければなりません。周囲の人たちと一緒に仕事をし議論する過程で、リーダーとしてのマインドセットを磨いていってほしいと希望しています。

2つ目は、時間軸ということです。一般に、2年間も勉強してMBAの学位を得たのであれば、その成果を早くに出さねばならないという考え方があります。キャリアアップという点ではそういう考え方も必要ですが、MBAで学んだことが本当に生きてくるのは、恐らく卒業してから5年とか10年という期間を経てからだと思うのです。社会のスピード化とは一見すると矛盾するようですが、長期的に企業や組織のあり方を考えていくことは極めて大切です。皆さんは、MBAという資格に求められるスキルを充分に発揮すると同時に、長い間の経験をそこに積み重ねて、MBAの価値を社会に発信していってほしいのです。

3つ目に伝えたいことは、日本についてじっくりと考え、日本の経済社会を先導するリーダーになってほしいということです。留学生の皆には、日本とビジネスをする中で、日本のことを考えてほしいと思います。経済社会は急速にグローバル化していますが、日本のビジネススクールで学び、日本の優れている点、同時に日本の企業や社会の課題を皆は実感として考えたと思います。単にMBAという学位を得たというだけではなく、日本で学んだという経験を生かし、これからの日本、そしてアジアのビジネスをリードしていってほしいと希望しています。皆の活躍が、改めて世界から日本への関心を高め、日本の経済社会を活性化していく。そうしたサイクルを回していくために、KBSの教員もスタッフも力を注いでいきたいと考えています。

今日は卒という節目ですが、皆のキャリアのためには、社会に出てからの経験と学びが大切になります。リーダーとしてのマインドセット、長期的視野、そして日本への貢献という視点を忘れずに、5年後、さらには10年後、さらにたくましくなった皆に再会できることを期待して、私の式辞にしたいと思います。改めて、卒業おめでとう。

2016年3月28日

慶應義塾大学大学院経営管理研究科

委員長 河野 宏和

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