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まず、「ゼネコンの経営成果は、多角化戦略と相関を持つ」という仮説が立て、 それに対して実証研究を行った。実証研究には、 上場ゼネコン上位20社の過去12年間のデータを有価証券報告書から用いた。 結果、ゼネコンの多角化戦略は、景気後退期に収益性と安定性と有意で負の相関を持つことが明らかになった。 しかし、 成長性においては景気拡大期には微々たる正の相関を、 景気後退期には負の相関を持っていたがいずれにせよ有意ではなかった。 この結果から、「@多角化はそもそもゼネコンにとって有効な戦略でなかった」、 「Aかつて行ったゼネコンの多角化戦略には何かの過ちがあった」という二つの仮説を導き出すことができる。 本論文では後者が支持され、文献研究と企業訪問インタビューを通じた実証研究を行った。 そこから確認できた問題点は、第一にゼネコンの多角化戦略は、 強い類似性をもつ業界標準的な環境適合戦略であり、個別企業としての差別性をもっていなかった。 第二に多角化戦略は新規事業分野への進出という長期的・戦略的な意図より、 短期的な本業支援戦略の一環として行われた。第三にその結果、新規事業は結果的・副産物的な存在となり、 負のシナジーを生み出し続けている、などであった。 以上を踏まえ、本論文では総合主義からの脱皮、異業種事業新規参入の際に考慮すべき事項、 内なる多角化等の方向性を提言する。
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