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「アパレル企業の脱成熟化戦略」
M20 金 徳展


本稿は、産業の成熟期とは、産業発展の最後の段階ではなく、新しい発展と飛躍への中間段階である。91年以来停滞状態に陥っているアパレル産業においても、脱成熟化は可能ではないかという問題意識の下、成熟期に達した個別アパレル企業の、成熟に対する対応と成果との相関関係を比較することによって、効果的な脱成熟化戦略を導出することを研究目的にしている。

この様な研究目的を満たす為、日本のアパレル企業の中で、似通った事業構造を持ちつつも、正反対の経営成果を見せる4社を取り上げ、成熟期における成長戦略(脱成熟戦略)を比較・検討する事例研究を行った。

今までのアパレル企業の競争は、価格と品質だけに注目した画一的、同質的な方法に依存し、低コストと均質の品質競争に走らされ、個性と多様な商品共有には向かなかった。すなわち、革新的なWHATではなく、平凡なHOWに偏った、戦略不在の経営だけを展開していたと言えよう。

事例分析の結果、アパレル企業の脱成熟化に有効な戦略は価値創造型戦略であり、それを導出・実行するために必要不可欠な要素・スピードは、各々の企業固有の組織能力に依存することが明らかになった。同時に、現在のアパレル業界において、価値創造型戦略の実践に一番有効な事業業態はSPA業態である。

以上から、本稿はアパレル企業の脱成熟化は可能であり、それは自社の戦略の練り直しによる価値創造型戦略と価値創造力を高める組織能力によって達成できることを主張する。このような能力を一言で説明すると、それは各々の自己革新力(イノベーション力)のことである。



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