ケースメソッド教育
KBSだからこそ可能になる教育価値
ケースメソッドとは
実際の経営状況をまとめたケースを素材に、ディスカッションを通して新しい知恵を共創する教育方法です。ケースメソッドは、過去80余年間にわたり、ハーバード大学ビジネススクールが中心となって開発し、改良してきた実践的な経営教育の方法です。日本においては、KBSが50年前に導入し、慶應型ケースメソッドとして独自に発展させてきました。
ケースメソッドの流れ
参加者は、まず現実の企業経営の実態をもとにして作成された教材(ケース)を受け取ります。ケースには、経営者、管理者が判断し決定すべき当面の問題に関連する周囲の状況や意見などが記述されています。このケースをもとに、参加者は次の3つの学習プロセスに主体的に「参加」することになります。
プロセス

事前個人研究
グループ・ディスカッション出席前に、参加者各自が課題とされたケースを分析・検討して、主要な問題を明確化し、具体的な提案を準備する。

グループ・ディスカッション
事前個人研究の成果を参加者が持ち寄り、少人数のグループで次のクラス・ディスカッションにつながる「議論のウォームアップ」を行ない、各自の問題意識を発展させる。

クラス・ディスカッション
講師のリードにより、参加者全員がさらにディスカッションを重ね、多数の参加者の意見を通して各自の問題発見力、問題の構造化能力、判断力、意思決定能力を養成する。
これら3つのプロセスを通じて、参加者は、
- ケースにおいて意思決定を必要とする問題が何であるかを明らかにする
- その問題に関連する記述・資料を関係づけ、解釈
- その問題を解決する具体的方策を考え、これを提案
- その方策が対する問題と周囲の関連状況に適合するものであるかどうかを比較・検討
- 最終的判断(意思決定)を下す
現実の企業経営の事例をもとに作成されたケースを教材として、上記のような訓練を多数繰り返し行うことによって、「ケースメソッドによる教育」では、「一般的な知識や理論の一方的講義」からは得られない実践的な経営意思決定能力が養成されるのです。
慶應義塾大学ビジネス・スクールには、日本あるいは外国の実際の経営問題を題材に、専門家が教育用に書き下ろしている「ケース」が常時2,000本以上準備され、指導訓練を受けた教員がそれらを用いて授業を行います。
“縦のリーダーシップ”と“横のリーダーシップ”を同時訓練する慶應型ケースメソッド

慶應義塾大学大学院経営管理研究科
教授 髙木 晴夫
世界規模の金融危機、経営統合による業界再編、ビジネスモデルイノベーションによる産業構造変化、自然災害、そして原発事故。経営環境は常に非連続に変化する。ビジネスリーダーに突きつけられる経営課題はますます高度化、複雑化している。これに立ち向かうビジネスリーダーは二つのリーダーシップを発揮しなければならない。
第一は"縦のリーダーシップ"。組織の上から下へ向かって発揮するリーダーシップだ。不確実な環境で将来を見通し、ビジョンを持って目標を定め、膨大な情報から本質を見抜いて戦略意思決定を行う。組織を先導するのは縦のリーダーシップである。
第二は"横のリーダーシップ"。理念を共有して組織の求心力を維持し、人々の連携から創発を生む。横のリーダーシップは、このための場をデザインすることであり、人々の持つ能力を最大限に重ねて拡大することだ。
慶應型ケースメソッドには、これら二つのリーダーシップを同時訓練する力がある。
ケースメソッドの教室は、トップの視点で経営課題を議論し、革新的な意思決定を提示する意見であふれる。多数のケースは非連続に変化する経営環境を提供するのであり、それらを議論し意思決定することこそトップ経営者の視点によるリーダーシップの訓練である。ハーバード・ビジネススクールのケースメソッドは"縦のリーダーシップ"のために生まれた。
ハーバードからケースメソッドを導入した慶應ビジネススクールの教室は、"縦のリーダーシップ"に加え、"横のリーダーシップ"も訓練する。日本がベースのKBSケースを議論することは、人と人が繋がるための必須条件を付与する。その教室は過度な個人主義に陥ることなく、他者の発言を尊重しながら議論する。上下左右に目を配り、全体の中の自分の位置づけを明らかにし、果たすべき役割を見出し確立する力を養う。
ビジネスリーダーを目指す人々が、KBSのケースメソッド教室で"縦のリーダーシップ"と"横のリーダーシップ"の訓練を受け、厳しさ倍加する経営環境に果敢に乗り出し、社会に貢献していくことを願ってやまない。
