文部科学省「特色GP」

ケースメソッドのこれから

ケースメソッドで日本企業における変革リーダーの育成を可能に

ケースメソッド発祥の地米国では、一般にケースメソッドというと意思決定力を鍛える教育方法であると考えられることが多く、そこでは主にトップダウン型の組織アーキテクチャーが想定されています。しかしながら、日本企業の多くはミドルアップダウン型の組織アーキテクチャーを持っており、意思決定と指示命令だけでは組織が動かない場面も多々あります。

このような組織のもとでは、現場やトップマネジメント層の情報を注意深く拾い上げ、数々の分析技法を駆使して全体最適解を導くとともに、組織の上下左右に配慮しながら協調協創して実行していく能力が求められます。ここでは、単純に米国流経営手法を導入するのではなく、リーダーが自らの経営理念と自らの経営手法を創りだせるようになることが必要です。

経営管理研究科では、日本企業における変革リーダーとは「多能工的経営実践能力をもったリーダー人材」と理解し、そのような能力を身に付けるための新しいケース教材開発、および、授業運営方法の開発に取り組んでまいります。またそれと同時に、経営管理研究科で教える教員の授業運営向上のための具体的な努力も、これまで以上にいたします。

ケースメソッドを実践型大学院の授業方法として汎用的に活用可能に

現在の慶應義塾では、実践力向上に直接フォーカスした授業方法と教材作成方法を塾全体の財産として持っているとは言い難く、塾の一部である経営管理研究科がそれを経験的に持っているに過ぎません。経営学分野に限らない多様な社会人大学院を持ち、日本を、そして世界を先導する責務をもった慶應義塾にとって、実践的授業運営と教材作成に関する方法論の確立は必須課題と言えます。慶應義塾がこの課題にアプローチすることで、ケースメソッドが経営学分野のみならず、それぞれの分野の社会人大学院の授業方法として汎用的に活用されることが期待できます。

それぞれの分野での社会人大学院教育では、その分野固有のものを必要としつつも、その土台には何か共通するものがあるはずです。そうした教育行為の根幹をなす共通土台が発見できれば、それを支える授業方法および教材作成方法に関する共通土台も確立可能になり、そこにケースメソッドとケース教材に関する方法論が提供可能になります。経営管理研究科ではこのような目的に向けた調査研究と、具体的な汎用方法の確立を進めてまいります。

活動報告

今後の活動計画

経営管理研究科における本事業は、2006年10月に開始され、2009年3月までの2年度半に渡って行われます。最終年度を慶應義塾内外に向けた情報発信の年にするべく、最初の1年度半は経営管理研究科内での研究活動を充実させてまいります。
また、最終目標に向けたマイルストーンとして、毎年度末にその年度の活動報告と次年度への課題出しを行うためのシンポジウムを開催します。

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