小売業再編成に関する一考察ー中小小売店の選択
吉屋 知彦 (Yoshiya Tomohiko)
郊外ショッピングセンターや大型小売チェーンの発達とともに、駅前商店街に代表される中小小売店の衰退がみられる。この状況において、今後中小小売店はどうしたら激化することが予想される競争において勝ち残れるかを考察する。
本論分の前半においては、流通業全体の過去からの流れを概観することにより、中小小売店が衰退する原因を探り、それを一般化するようなキーワードを見いだすことを試みる。
そして、キーワードをもとに、靴業界を分析し、中小小売店の現状認識をする。ここにおいて、靴業界を選択したのは、近い将来大きな変化が予想されるからである。
また、後半部分においては、靴に関する調査をもとに、靴の購買における消費者行動を類型化することを試みる。類型化にあたっては、購買関与度・品質判断力という概念に加え、ライフスタイル要素を用いることで、より明確な消費者像をつかむこととする。
これにより導出された中小小売店のターゲットの特性をもとにすると、現状では、靴を義務的な消費ととらえている消費者が多いことがわかる。
しかし、靴がファッション商品として浸透していく過程で、業界も再編成し、消費者も変化すると思われる。
靴業界の変化の方向性を定めるとともに、中小小売店のとるべき戦略を最後に提案する。