小売業態展開の比較研究 −日本と韓国を中心として−

 

M19 成 東妍




 本論文では韓国と日本の小売業態展開の比較研究に取組むにあたって、2つの課題を設定している。ひとつは、研究の発端となった日本型GMSの失敗原因の解明である。もうひとつは、韓国で日本型GMSが失敗した原因解明の結果に基づき、韓国へ進出しようとしている外資系・多国籍小売業者や、新しい業態を展開しようとする韓国小売業が成功・発展をするためのインプリケーションを提示することである。このためべインの産業組織論をベースに1)流通業の発展過程の比較、2)商業統計を利用した構造比較、3)企業ケース分析を通して研究を進めた。

 両国流通業の展開過程の共通点として@大衆消費市場の形成まで長いタイムラグ存在、A二重構造が長期間存立:一握りの大規模百貨店と膨大な中小小売店、B「小売の輪」のような展開がみられない:百貨店以降小売業態革新が一気に到来。相違点として@韓国は中央集権、日本は封建制、A卸売業が成長できなかった、B韓国は展開過程において逆行現象がある。構造比較の結果として@零細過多の規模構造、A業種・業態構造の類似性、B高い製造業による垂直統合率、Cソウルへの高い一極集中、DW/R比率が低い、etc。以上の調査結果をふまえ明らかになった日本型GMSの失敗要因は、T大衆消費市場が形成される直前、U価格帯、品揃において百貨店と直接競合、A価格競争力もてず:運営方式同じ、卸売業の不在。

 流通業もグローバル化という変化の下、競争激化が予想され既存の製造業中心の流通構造では効率性の維持が困難である。従って小売業による卸売機能の遂行を提言する。しかし、卸売と小売では最適品揃え・規模が違うので非効率性が発生するので、非効率性が発生しにくい業種や業態を選択、開発が成功のために必要不可欠であろう。