オープン型マーケティング −生命保険会社にとってのネットワーク型経営−
M19 杉本 裕司
金融システム改革が進む今後、購買関与度と探索判断力から観た顧客ポジションにも移動が起こる。金融機関は単独で全ての顧客層と全ての業務分野をカバーする事は困難となり、競争環境に応じて新たなマーケティング戦略の構築が必要となる。本研究では、2001年の銀行と保険会社の相互参入を取り上げ、生命保険会社が競争優位を確立するための考察を加えた。その本質的な要素とは、オープン型のネットワーク型経営の導入と言った、外部資源を有効活用したマーケティング戦略である。
ネットワーク型経営により好業績を挙げている企業は、系列に拘らず相互に外部資源を活用することにより、不足した資源の獲得、新たな価値の創出、コストの削減など「範囲の利益」「規模の利益」を実現し、さらに資源の獲得や開発に要する時間の短縮を意味する「速度の利益」を獲得するためにネットワーク型経営を活用していた。
生命保険会社は、他金融機関を販売チャネルとして活用する傍ら、ネットワーク上で主導権を握るために固有業務分野でアウトソーシング・ベンダー機能を果たし、新規参入の脅威をビジネス・チャンスに変えてしまうことが必要である。さらに本研究では、購買関与度と探索判断力の2軸を活用し、各セグメントに対して提供する商品、販売方法、付加価値を供与する方法、ネットワーキングと言ったマーケティング戦略の提言を行った。