加工食品におけるブランドマネジメント 

−効果的ブランドエクステンションに関する一考察−

 


 従来、日本の食品企業のコーポレートブランドは消費者に対する「信頼の印」としての意味を付与されていた側面が大きい。しかし、食品企業をとりまく環境要因は大きく変化している。消費者が学習によって十分な情報を蓄積し、成熟した「賢い消費者」が出現してきたことでコーポレートブランドの拡張を中心に展開してきた食品企業のブランド戦略は見直しを迫られている。反面、バブル崩壊後の市場環境の悪化は新製品の成功率の低下という形をとって企業を直撃し、コスト面で大きな負担となる新規ブランドの創出と、自社の資産を活かす従来型のブランド拡張とのバランスをいかにとるかが企業の重要な経営課題になっている。

 本研究においては、「信頼の印」としての意味付けを行なわれてきた食品企業の「コーポレートブランド」に焦点を絞り、消費者行動面からの実証研究を行なうことでその拡張範囲や適合性の基準について提言を行なうこと目的としている。
 実証研究にあたっては、コーポレートブランドを適用するカテゴリーに着目し「カテゴリーの類似性」と複数カテゴリーにわたるブランドの「イメージの共通性」、およびカテゴリーに対する「関与」、「ブランドコミットメント」、「判断力」を変数として使用した。

 実証の結果、コーポレートブランドの持つ複数カテゴリーにわたる「イメージの共通性」、ブランド拡張先カテゴリーと拡張元カテゴリー間の「カテゴリー類似性」によって、ブランド戦略を4つに類型化し適用していくことが必要であることが示された。