オフィス用市場における顧客購買行動とマーケティングインターフェース
オフィス用市場は、業界の垣根の崩壊などによる競争環境の変化や顧客企業を取り巻く環境の変化に直面している。これらの環境の変化によって、オフィス用市場における多くの売り手企業が、対顧客関係の形成・管理に関する問題に直面している。従来のような顧客に密着した関係を維持することが、今後の競争優位になるか?等である。そこで、本論文では、これら顧客購買行動の変化に基づく顧客企業とのインターフェース構築について検討するため、顧客購買行動の分析を行なった。
顧客購買行動の規定因として、財・サービスの「革新性」、「影響の範囲」、その購買過程で「イニシアチブ」をとったセクションに注目した。これら3変数によって、購買担当者の情報探索料量、探索情報源、売り手企業に対する評価がどのように変化するかを、実際の顧客企業に対するアンケート調査に基づき統計分析を行った。分析の主眼は顧客企業のイニシアチブと理想的なイニシアチブとのギャップによる情報探索量の変化とした。すなわち、イニシアチブをとるセクションよって購買状況が情報探索量に及ぼす影響が異なり、結果として生じる購買行動の違いを識別することにあった
分析の結果、情報探索量、売り手企業に対する評価について、購買状況の影響がセクションごとに異なり、結果として情報探索活動が異なることが検証された。情報探索源については、購買状況にかかわらずセクションによる差が存在する事が検証された。これらの結果から、大別して「管理主導型」、「専門・使用分散型」の2類型と対応戦略を提示した。
顧客企業において理想的なイニシアチブとのギャップが生じ、それによって購買行動が異なること。そしてイニシアチブをとるセクションに注目することは、インターフェース構築のための有効な指針を与えてくれるといえる。