調剤薬局における消費者行動の実証的研究
零細規模の医薬品小売業(いわゆるパパママドラッグ)が減少し続けている。この最大の要因は、業界を取り巻く環境が変化している中で、医薬品小売業者が従来通り、供給側の論理で戦略を立案しそれを需要側である消費者に押し付けていた、と言うところにあると考えられる。
近年、医薬品の販売等に関する規制緩和が少しずつではあるが進んできている。様々な医療費抑制策も検討されている。また、消費者のニーズも多様化してきている。このように環境が変化している中、医薬品小売業は、今までのような供給側の論理を展開するのではなく、消費者にも配慮すべき時代になってきていると言えるのではないか。
以上のことを踏まえ、消費者調査により薬局選定時における消費者のニーズを明確にし、旧態依然とした経営を現在も続けているパパママドラッグが成功するための競争戦略を構築するのが本研究の目的である。
分析の結果、消費者が調剤薬局を選択する際のポイントを絞り込むことができた。それは、「待ち時間」、「立地」、「薬剤師による薬の効能効果及び副作用の説明」の3つである。また、これら3つのポイントを選好する消費者には、それぞれ特徴があることが確認できた。環境の変化に対応するとともに、これら3つのタイプに分けた消費者それぞれに合った行動をとることこそが、これから消費者が望む理想的な薬局になれる必要条件となる。