流通ネットワークとインパナトーレ
−医療機器流通変革への一考察−
日本の医療業界の構造が大きく変化しようとしている。要因は、医療機関の環境の変化である。それは、薬価差益の減少、医療費抑制政策、診療報酬のマルメ化、人件費の高騰、医療機器の高額化等が挙げられる。
医療業界は製造業及び輸入販売業者、卸業者、医療機関がそれぞれ専門性を発揮することで業界全体を構成している。本研究では特に医療機器流通について取り上げている。医療機器業界の流通は、製造業及び輸入販売業者から非常に多くの品目にわたる医療機器を、多くの卸業者が医療機関へ納品している小規模分散構造になっている。それは市場が分断され、情報が医療機関へ行き渡っていないから、医療機関は限られた情報の中から選択している状況である。
供給側は広い範囲に販売し、需要側は広い範囲から良い条件で選択したいという要望に応える理想的なモデルと展開順序を提案する。それは狭い範囲での活動から、広い範囲でのマッチングにスケールメリットを活かせる。
そのために理論的にも整理し、次にベストプラクティスとしてイタリアのインパナトーレという繊維・アパレル業界でのオーガナイザーに注目し医療機器流通変革の可能性について考察をする。
最終的には、ネットワークが発達し多くの組み合わせの取引が出来るようになり、医療機関側からは購買代理業として、製造業者側からは市場開拓代理業としての機能を持ち備えたオーガナイザーが介在することにより市場を活性化させる存在になることを提案している。