消費者金融における顧客行動の分析

 


 消費者金融業界を取り巻く環境は激変している。業界外では、銀行を始めとした他業態からの参入が相次いでいる。2000年後半からはホワイト情報の交流が実施されることとなり、こうした流れは一層加速するものと思われる。業界内では、出資法の改正によって上限金利が引き下げられるため、顧客獲得競争がより激化するものと思われる。また、外資による買収が盛んに行われる一方で、他業態と新会社を設立する企業が現れるなど、生き残りを賭けた競争が活発になっている。

 このような環境下、これまで好調に収益を伸ばしてきた消費者金融業界であったが、近年ではその成長率に陰りが見え始めている。消費者金融業界は「新規顧客の減少」という大きな課題に直面しているのである。

 本研究では、新規顧客の獲得を目的とした施策提言を行うために、消費者金融に初めて利用に来られた顧客に対し、利用目的や重視度を調査するアンケートを実施した。分析の際には、全国消費実態調査報告と利用目的から顧客の経済状態を推測し、どのような経済状態の時にはどういったファクターを重視するのかを確認した。この結果を基に、好況期,不況期にそれぞれ投下すべき施策を考察した。

 その結果、好況期にはチャネル数増加や利便性の向上など、利用を促進する施策が有効であることが確認された。不況期には利用にあたっての心理的抵抗感(借入れに対する抵抗感や返済に対する不安)を軽減する施策が有効であることが確認された。