顧客行動分析に基づくリテールバンク・マーケティング

 

M22 杉岡 敬士



 日本版ビッグバンを迎え、大蔵省と日銀がコントロールしていた金融市場に自由競争の原理がもたらされた。邦銀は参入相次ぐ外資系金融機関や異業種銀行とも競わなくてはならなくなった。この動きに対して邦銀は戦略的な大型合併・統合を行っている。しかしこの銀行再編に加わらない銀行も現れ、邦銀の中で二極化が進んでいる。再編に加わらないリテールバンクを目指す都銀や地銀が、どのようなマーケティングを行い、リテール業務において差別化し競争力をつければよいかを早急に考える必要がある。

 本研究はこの大型再編に加わらず、独自の路線でリテール業務に特化する銀行に要求されるマーケティング戦略を構築しようとするものである。

 顧客の金融に対する学習効果は高まり、同時に生活防衛の意識も強まっており、金融機関を目的別・機能別に使い分け、選別する時代となってきている。しかし従来、銀行は一律的なマーケティングで顧客全ての満足度の向上を図ろうとしてきた。

 顧客は一律ではない。銀行は顧客の選好・行動を分析し、顧客サイドに立ったマーケティングを行い、顧客の目的・機能に合わせた金融商品・サービスを、適切なタイミングで提供できることが必要不可欠である。

 本研究では、その一律ではない顧客の購買行動特性を、「関与」と「判断力」を軸に分析し、選択する金融商品によって異なる「重視情報源」「重視情報内容」はどのようなものかを明らかにし、リテール業務に特化する銀行が「顧客に選ばれるためのマーケティング戦略」について提言した。