住宅の消費者購買過程におけるインターネットの活用

 

M22 杉田 英昭



 インターネットの利用の拡大に伴い、WWW(ウェブ)上で発信される情報量が急増している。また、インターネット上で財やサービスの取引きを行なう電子商取引も急増し、実に数多くの財やサービスが取引されている。今後この電子商取引の規模、範囲とも拡大することが予想されるが、全ての財やサービスがインターネット上だけで取引が完結されることはない。その典型的な例が住宅である。高額で購買頻度が低いという住宅を購買する消費者は、必ず、購買前に商品を自分の目で確認したいと思うからだ。ただ、収集しなればならない情報探索が多い商品であることから、インターネットによる情報提供については、購買者にとって有益だろう。

97年の消費税の引き上げ以来、新設住宅着工戸数は減少していて、住宅メーカーは激しい新規顧客獲得競争を行なっている。今後さらに、新設住宅着工戸数は減少していくことが予想されているので、住宅メーカーが新規購買者を獲得するためには、今まで以上に購買者の立場にたって、多くの便益を購買者に与えて行くことが必要となってくる。そうなると、購買者にとって有益なインターネットの活用を住宅メーカーは積極的に行なっていかなければならない。そのためには、住宅メーカーとしてはインターネット上で提供できる情報とリアル(営業担当者と住宅展示場)で提供できる情報を明らかにし、それらを最適な方法で融合した情報提供を考えて行くことが必要となる。

 こうしたことを踏まえて本研究では、消費者調査を行ない、一戸建注文住宅の購買者の情報探索活動、具体的には、購買者がインターネットから収集しようとしている情報内容とリアル(営業担当者と住宅展示場)から収集しようとしている情報内容、インターネットとリアルとの関係を明らかにし、住宅メーカーが取るべきインターネットとリアルの融合戦略(情報提供)への提言を行なうことを目的とする。

 分析の結果、以下の3つの点について提言を行なった。第1は本研究の目的であるインターネットとリアルを融合した情報提供方法。第2、第3は本研究の目的から少し外れるが、研究を進めていく中で明らかにすることが出来た点である。その1点目は営業担当者と住宅展示場に求められる役割。2点目は増大する非商業的情報源への対策。