電子商取引における家電メーカーのマーケティングに関する研究

 

M22 藤田 玄



 メーカーの販売チャネルやマーケティングは、消費者の購買行動の変化に対応しながら変化して行くことが求められる。

販売チャネルが実効性を伴って成立するかどうかは、そのチャネルが消費者をひきつける価値は何であるかという観点から捉えることができ、同時にメーカーのマーケティングはそのチャネルが価値を提供するための条件を満たすためには何をする必要があるかという観点から捉える事ができる。

 電子商取引の伸長が、メーカーの流通戦略にも影響を及ぼす可能性は否定できない。実際、現在メーカー各社は電子商取引への取り組み方を模索している。しかし、インターネットチャネルでの販売も売り手にとってメリットがあるだけではなく、消費者がインターネットで取引を行いたいと思うだけの、消費者をひきつける魅力を持っていなければ販売チャネルとしての有効性を持つだけのものになるとは思えない。

 そのため、本研究においては、家電メーカーの事例を分析し、メーカーが電子商取引を自社製品の販売チャネルとして有効なものにするために、インターネットが消費者の購買過程の中でどのような情報を提供するものとして捉えられ、何で消費者をひきつけ、そのための条件は何であるかを明らかにすることを目的として分析を行った。

 分析の結果、家電メーカーの電子商取引戦略は、既存流通をベースとする限りその戦略の延長上にあるということと、各社それぞれ違う戦略を採用しているということ、加えて限られた品揃えで販売を行っていくためには、製品力やブランド力のような指名購買を誘う要素が必要となるほか、顧客の維持を図るための施策が必要となるということであった。

 しかし、現在、家電メーカーによる電子商取引は始まったばかりであり、どの戦略が有効であるのかは明らかにならない。また将来的なネットショッピング利用者像が、現在のネットショッピング利用者像と同様であるのか、著しく変化するのかに対する考察が行い切れなかったため、本研究においては電子商取引における家電メーカーのマーケティング戦略としてどのようなものであるべきという提言を行うことは早計であり、明言することはできないと考えられ、戦略的提言を行うことは避けた。