小売業の販売データ分析に関する一考察
−コンビニPOSデータのデータマイニング−
M26 秋永 泰広
コンビニの成長要因のうち、POSシステムによる販売管理は、売上管理、在庫管理などの会計業務に飛躍的な効率化をもたらし、商品の売れ筋や死に筋の管理などの営業面などで効果をあげてきた。現在では、全てのコンビニの各店舗とコンビニ本部はオンラインの回線で結ばれ、どの店舗で、いつ、何が売れたかを把握できるようになっている。
そのため、「コンビニで一番売れているおにぎりの具は何?」と問われれば、即座に、「ツナおにぎり」と回答できる。「先週売れたトップ10は?」と聞かれれば、「1位ツナ、2位うめ・・・」と回答することも可能である。このような単品管理のデータを用いて、売れない商品をカットして、新商品を投入するという意思決定を繰り返し行い売場の効率性を高めている。
POSで管理する販売データは、商品の単品の販売データに関しては非常に長けている。一方、例えば、「おにぎりを買う人は、1度に何個買う人が多いの?その分布は?」や「おにぎりを2個買う人の具の組み合わせで最も多いパターンは?」と聞かれてもすぐには答えられない。このように購入商品間の分析が不足していることが、本研究で明らかにしたいと考えた問題点である。さらに、その購入商品間の分析結果から、何らかの法則性や規則性を発見することで、店頭マーケティングや新商品開発につなげる示唆を与えることができないかというのが次の課題である。
従来は、数十万ものPOSデータを分析することは物理的に不可能であったが、現在は、コンピュータの高性能化、解析ソフトの高度化によりデータマイニングの手法を使用することが可能になった。データマイニングを使って、不特定多数の個人個人が選択した買物履歴のデータを分析することで、1人1人の個人の購買データの分析とは異なる消費者行動の新たな法則や傾向を探ることを本研究のテーマとしている。