グローバル企業による日本市場向け製品戦略、その成功の鍵を考える


M26 松林枝里子

 


 外資グローバル企業が「消費者の選択眼が厳しい」とされる日本のリテール市場に参入する際の戦略を、財のローカライゼーションという観点から分析を行った。

企業ケーススタディーにおいては、企業が日本人向けにローカライズされた製品を作り、これを鍵に売上拡大を目指していることが伺えた。
ただ、このローカライゼーションについては、ロレアルがその方針を徹底させているのに比較すると、エスティーローダーでは戦略として選択しているわけではなかった。

一方で、消費者アンケートによると、この化粧品のローカライゼーションについては消費者は歓迎の意を表しており、「ローカライゼーションが売上拡大の鍵」という企業側の仮説は成立すると言えよう。
しかし、消費者のローカライゼーション製品への使用意向は高いのであるが、実際の使用ブランドは国内の化粧品が多いということも分かった。

つまり、ここには、企業と消費者の間にギャップが存在するといえよう。
そのギャップとは、企業が化粧品について売上拡大のきっかけとしてローカライゼーションを取り入れているのにも関わらず、消費者は、その財が自分たちの肌を研究し、自分たちの肌向けに作られたローカライゼーション製品だと認識せずに、「外資系化粧品」についてのステレオタイプをもって遠ざけている姿が存在するのである。

こうした状況に対して、企業は何をなすべきか。
それは、一点、「財のローカライゼーションについて、消費者に伝わるようなコミュニケーションをマーケティング上とっていくこと」であろう。
それは例えば、現在では、雑誌の広告でも、「この製品は日本向けに開発されました」と一文のみしかいれていないような伝え方ではなく、ローカライゼーション製品であることを前面に打ち出したマーケティングを行ってしかるべきであろう。