企業ブランドの有効性に関して
〜消費者購買行動における製品のこだわりと店舗のこだわりの観点から、
資生堂を事例研究として〜
M28 茶木 安奈
日本経済の規模を維持、或いは拡大するためには、@国内市場への対応とAグローバリゼーションへの対応が不可欠である。また、海外のブランドのランキングを見た場合、電気関連の製造業など名前を連ねる日本企業がある。しかし、嗜好品に該当する企業の名前は浮上してこない。グローバリゼーションが欠かせない今後のことを考えた場合、ブランドの浸透度合を深めることは重要な課題のひとつとして考えられる。
消費者購買行動の観点から、消費者の製品選択と店舗選択の相互関連を二つの軸で示す。つまり、@製品に対するこだわり度合いが高い(非最寄品)/低い(最寄品)とA店舗へのこだわりの度合いが高い(非最寄販路)/低い(最寄販路)という分類の仕方である。なお、本来は連続的に変化しているものではあるが、説明の便宜上上記のように分類した。
これをもとに、まずはじめに各時代の製造業・流通・消費者の関連性の変遷から、消費者は購買行動の規定のもと、どのように製品へのこだわり・店舗へのこだわりを持っていたかを探る。時代区分は、@明治初頭から1900年代前半の戦前A戦後及び1960年代B1970年代C1980年代D1990年代E2000年代の六つとする。
次に、資生堂を事例にあげて、各時代における消費者の購買行動に対して、実際企業側はどのような戦略を打っていたかを検証する。このことによって、戦略が成功したのか、失敗したのかを探る。なお、資生堂を事例に挙げたのは、@グローバルに活躍する企業であることA現在の国内市場戦略が成功を収めていることB化粧品事業は零細としてのスタートだったにもかかわらず今日ではトップシェアとしての存在感を放っていることC企業ブランド及び製品ブランドの両方の戦略をとっていることから選択した。
最後に、この理論研究及び事例研究により、本編は企業名ブランドが有効か否かに関して、どのような場合に有効に働き、どのような場合に有効性を持たないかを、この事例の範囲内で検証したものである。また最後に提言として、企業ブランドと製品ブランドの併用戦略に関して記している。