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現在、建設業を取り巻く環境の変化は非常に厳しい。建設投資の低迷と深刻なゼネコン倒産(1997年度146件、1998年度上半期だけで111件)、社会環境の変化、価値観の変容、競争の質的変化、国際化の波等、大きな変化が起きている。このような激しい変化を乗り切るために、日本ゼネコンの経営戦略、その中でも技術戦略はどういう方向に向かっていくべきか、提言するのが本研究の目的である。また、これまでの技術戦略の特徴とオリエンテーションについても考察した 研究方法としては、技術開発テーマの分析を切り口とし、ゼネコン業界全体、及び会社別の技術戦略の特徴と方向を導き出す。 研究開発テーマの分析モデルは、(1)テーマの創造性(創造的−改善的)、(2)分野別(ソフト分野−ハード分野)、この二つの軸を使って分類した。 分析結果による結論は、(1)日本ゼネコンの技術戦略は、ハード志向の改善的技術によるコスト競争優位戦略を主とする(2)日本ゼネコンの技術戦略のオリエンテーションは同質的かつ重複的である。以上の特徴を踏まえた上で次のように提言した。(3)今後の技術戦略の方向は、ソフト指向の創造的技術開発による差別化戦略に移るべきである。また、業界全体もしくは学校との共同研究などを通じて、重複的な投資と高いリスクを避け、効率的な研究開発戦略を持つべきである。
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