第101回経営幹部セミナー 開催報告

第101回経営幹部セミナーは、下田東急ホテルでの合宿形式で開催されました。下田の自然に囲まれた雰囲気は、受講生の皆さんを実務と喧騒から切り離し、勉強に集中するには絶好のロケーションです。
今回のセミナーは、ケースメソッドになじみのない受講生の方々にスムーズにセミナーに馴染んでいただくためのオリエンテーションから始まりました。オリエンテーションでは、ケースメソッドの進め方とその有効性がセミナー主管の中村洋教授より説明されました。グループディスカッション、クラスディスカッションを通じて、異業種の人たちと多様な考え方を討議することができる方法は、慶應義塾大学ビジネス・スクールの特徴であり、MBAや他セミナーにおいても高い評価をいただいております。
セミナーは、2週間という短い期間に「会計」「財務」「生産」「マーケティング」等、多岐に渡る分野が濃縮された内容でした。
中でも、大林厚臣教授の授業『八甲田山雪中行軍』は、その特殊な題材を取り上げた教材自体の魅力と、そこから読み解かれる、現在の事業戦略にも通じる状況分析と意思決定に大きな反響がありました。また、渡辺直登教授の『メンタリング・プログラムと企業』では、「青少年のメンタリングは不要、親の責任と思っていたが、ビデオを見るうちに自分の考えの至らなさに気づいた」、「シルバー世代の再雇用としても活用の可能性も感じられる」など、受講生の方々から多様な視点より感想をいただいております。
さらに11月6日、11月13日土曜日には講演が行われました。池尾恭一教授(11月6日)は、『日本型マーケティングとオープン型経営』と題し、明瞭で流暢な語り口、かつ実務に役立つ内容で講演を行い、受講生の方々より高い評価をいただきました。
また、当セミナーは人脈形成の場としての役割も果たしています。今回は、2回のグループ替え、クラス替えを行い、「この年代になり、異業種の方と2週間も付き合えることに感謝します」、「当初の目的である"出会い"と"気づき"を達成できました」というご意見をいただきました。受講生の皆さんは、グループやクラスの枠を超え、名刺交換会、終講パーティーなどの機会を通じて、セミナー終講まで活発に交流を楽しんでいたようです。
セミナー概要
開催日時 | 2010年11月1日(月)~11月13日(土) |
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会 場 | 下田東急ホテル |
日 程 | 第101回経営幹部セミナー 日程表 |
受講者の声
- ステップアップを感じられて、なる程と思いました。適宜予習時間の必要な程度が違っていたので良かったです。(出版・52歳)
- ケースのボリュームも適切(少なくなく多くなく)であり、集中力を持続しつつ、講義、グループディスカッション、クラスディスカッションを継続できました。(メーカー・37歳)
- いずれの科目も普段の業務活動の中ではあまり意識していない内容(無意識にはあるが)だったため、非常に興味深く、取り組むことができた。色々な気づきもあり、役に立ったと思う。(情報サービス・48歳)
- 財務諸表の講座について追加講義を申し入れたら、即対応してくれた事務局のアクションは素晴らしい。(機械・48歳)
- テーマ、ケース内容、講師タイプが多様でダレないかつ入り易い順番になっていたと思う。(商社・38歳)
セミナー主管メッセージ
101回セミナー主管
中村洋教授
今回の第101回経営幹部セミナーでは、景気低迷にもかかわらず、大変多くの企業からご参加いただきました。初日に開催地である下田への電車が遅れたり、APECの関係で下田湾に来た軍艦が見えたりするなど、思いがけないことが多々ありましたが、受講生の皆様には、楽しくかつ充実した2週間を過ごしていただけたことと思います。特に、様々なケースについてのディスカッションを通して、ご自身の意思決定力の向上を図るとともに、自社を取り巻く環境ならびに自社の今後とるべき戦略について、これまでとは違った視点でより深く考えることができたと思います。さらに、他の会社あるいは他業種の方との交流は受講生の皆様のネットワークのさらなる構築にも役立ったのではないでしょうか。
現在、多くの企業は、新興国市場の台頭、低コストライバルの出現、規制強化など様々な課題に直面しています。経営幹部セミナーで培われる広い視野と深い考察力、さらに広がるネットワーク、そして何よりも意思決定力の向上が、それらの課題の克服、さらに課題をチャンスに変えることにつながると確信しております。
慶應義塾大学ビジネス・スクール 50年の歴史
1962年に創立されたわが国では始めての本格的なビジネス・スクール、それが慶應義塾大学ビジネス・スクールです。福澤諭吉の「実学」の精神を礎に、経営専門家教育の実践と普及を行ってきました。これからも、グローバルな経営教育コミュニティの一員として、ケースメソッド等の教育方法を進化させ、経営教育機関の新たな姿を常に切り開いてまいります。