KOBAYASHI Laboratory
M24 倉本 勲
『製造業の脱・“踊り場戦略”』
‐新興市場卒業に向けて‐
上場企業の年間倒産社数が過去最高を更新する一方で、店頭(ジャスダック)市場など新興企業向け株式3市場の上場企業数が2001年に初めて1000社の大台に達した。その中で最も登録企業数が多い店頭市場から東京証券取引所に移る企業が増えている。2000年には64社、2001年には43社が店頭市場から東証(1部あるいは2部)に「くら替え」した。
企業が成長した結果、上場変更が増えるのは望ましい。新興市場の企業が続々と日本を代表する東証市場に進出し、次世代の日本を担う企業に成長すれば、この長期不況の打開策になるのではないか。以上のような問題意識を基礎として、本論文では次のようなテーマに絞って研究を行う。
新興市場から東証2部に上場する段階にある企業が、どの経営資源を改善/拡充すれば:?新興市場での滞留年数を短く出来るのか ?より成長性を高めることが出来るのか ?より生産性を高めることが出来るのか
最近5年間において、店頭市場から東証2部に卒業した企業のうち、ハード製品関連の製造業38社を本論文の対象とする。
最初に文献研究、予備事例研究を行い、分析のフレームワークを構築し、「新興市場での滞留年数・成長性・生産性」のそれぞれに関する仮説を設定した。次にサンプル企業を対象とした定量分析と、各指標において成功あるいは失敗したと考えられる企業の事例研究(定性分析)を行い、仮説を検証した。その結果、以下の事が明らかになった。
新興市場の滞留期間の短縮化に関しては、以下の内部資源&能力の拡充が重要である。?オーナーの意向を反映させる同族持株比率の高さ ?積極的な設備投資活動 ?組織構成人員の少数精鋭化
成長性の向上に関しては、以下の内部資源&能力の拡充が重要である。 ?自社の強みを生かす事が可能で、かつ時宜を得た設備投資 ?ターゲットを絞り込んだマーケティング活動 ?営業・開発人員の拡充と人材の質向上
生産性の向上に関しては、以下の内部資源&能力の拡充が重要である。 ?作業能率向上と合理化につながる設備投資 ?情報通信ネットワークの構築 ?商品のブランド価値を高めるマーケティング活動 ?人員削減と同時に行われるべき社内活性化策
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Last updated 04/03/22