KOBAYASHI Laboratory

 

M26 小林 祐太

『中国市場における生産財企業の活動についての一考察』


 本論文は「中国市場における生産財企業の活動」を研究テーマとして取り上げた。中国市場はその巨大な規模と成長性から、近年高い注目を集めている。しかし一方で、撤退していく企業もまた増加しつつある。その理由として競争の激化や中国の環境や文化・価値観への対応不足などが挙げられる。こうした背景を踏まえて、本論文では中国市場へ進出した生産財企業(メーカー)が、中国市場でポジションを確立し、高いパフォーマンスを継続して上げていくには、どのような方向性をもって活動すべきかについての研究を行った。

 研究に際してはまず先行理論研究と予備研究によって、中国での事業展開において重要と思われる12の分析の要素を抽出した。12の要素とは、@コントロールの所在、Aトップの関与、B所有形態、C流通チャネル、D製品政策、Eチャネル政策、F組織形態、G現地リーダー、Hスタッフ、IHRM手法、J知識の伝播、K政府や社会に対する取組、である。また長期的な視点で捉えるために参入期と成長期という時間軸を設定した。これらの要素を時間軸に沿って分析することで考察を進めている。

 分析はこの要素に基づいて仮説を構築し、この仮説を検証していく形で行う。仮説検証は定量分析と定性分析の二つの手法を用いた。定量分析では中国へ進出しているメーカーへのアンケート調査を実施し、全体の傾向を把握した。定性分析においては定量分析では分からない背後の因果関係などついて考察している。事例は文献や資料等で成功事例として取り上げられている企業8社について、文献・資料での研究のほかインタビューによる事例研究も行った。

 分析の結果として12の要素における方向性が明らかとなり、成功するために必要と思われる要素も得られた。また分析結果から中国の特性を理解して経営へ反映させること、相互理解を基にビジネスモデルを追及することが重要であることも分かった。こうした考えの下、勤務先である積水化学工業株式会社を含め、今後中国へ進出を計画する企業や中国事業の拡大を図る企業への提言を行っている。

 

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Last updated 05/03/10