KOBAYASHI Laboratory
M26 村上 恭子
『業界再編下での組織マネジメントについての一考察』
ITの進歩に伴うバリューチェーンの解体や統合は、業種の垣根の消滅をもたらし、製品開発に機能間の統合を求めている。しかし企業は、依然として専門性追求や環境対応のため、組織の境界線を持たざるを得ない。
本論文では、組織の分化と統合の両立のためのマネジメント方法をいくつか提示する。
顧客獲得に長ける企業は、市場構想力(顧客の期待を予測する能力)、組織連携力(各組織が協業する能力)、知識移転力(個々の知識を他に移転する能力)を備える。これらの能力は個人や単独の組織では獲得困難なため、組織連結の方法として、プロジェクトや統合部門が活用され、選択した方法に合ったマネジメントが行われている。
事例研究により、探索研究プロジェクト(基礎的研究を行う)では、市場構想力を個人の専門性に、組織連携力を非公式ネットワークに依存していることを発見した。革新プロジェクト(根本的に新しい製品を開発する)では、市場構想力に非専門性を活用しながら、組織連携力を仕組みの強化で確保する。基盤プロジェクト(既存製品の改善を行う)では、市場構想力は専門家が深堀し、組織連携力は定型的な仕組みで獲得している。統合部門の設置(コーディネーターが介在)では、市場構想力は専門性で実現し、組織連携力はトップダウンで獲得している。知識移転力は、どの場合においても人に依存することが多い。また、プロジェクト・リーダーやコーディネーターが、メンバーや担当者を評価することは少ないことが判明した。
[小林先生Profile] [担当科目紹介] [小林ゼミ] [サブゼミ書籍] [Contact us] [KBS Home page]
[Top page に戻る]
Last updated 05/03/10