KOBAYASHI Laboratory

 

M27 今津 貴博

『小売企業の品揃え・販売能力に関する考察』


 業態としての相対的魅力度の低下、企業間、店舗間の同質化、サプライヤーへの交渉力の低下などの理由で百貨店業界は構造不況業種といわれている。これは、かつて在庫リスクと販売員の負担をサプライヤーに転嫁したことが根本原因と思われ、小売本来の機能である品揃え能力と販売力をいかに向上させていくかが百貨店企業の課題であると考える。

 このような背景のもと、本論文の目的は、百貨店企業に対して品揃え能力と販売力を構築していくことの重要性と、それらの能力を構築していくためのマネジメント要素についての示唆を得ることを目的としている。

 そのため、本論文では日本国内の経営成果の高い小売企業を研究対象としているが、百貨店への示唆を目的としていることから、取り扱う商品群が比較的百貨店に近い企業を事例研究の対象とした。

    

 事例研究の結果、経営成果の高い小売企業が発揮している強みとその源泉を、小売業内バリューチェーン上の機能別に抽出することができた。そして強みの源泉として主なものに「商品の完全買取」や「スクラップ&ビルドによる実験」「意思決定を支援する情報システム」「失敗を恐れない風土を醸成するマネジメントコントロール」などがみられた。また発揮している強みが取り扱う商品群によって異なり、それは消費者の製品理解度および購買関与度によって分類された「高ファッション性商品群」「高専門性商品群」「日常・汎用商品群」の3つに類型化できることが判った。

    

 そして百貨店企業に対して、完全買取により在庫リスクを負い、実験を通して複数ブランドをポートフォリオ運営し、商品群ごとにマネジメントの手法を変えるべきであるという示唆を得た。

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Last updated 05/03/10