KOBAYASHI Laboratory
M27 永島 順子
『日本企業のフランス市場進出成功要因』
世界はエマージング市場である中国に目を向け、成熟市場の魅力は相対的に劣ってしまうが、フランスのような成熟市場にあってもよく観察すると日本企業にとってのビジネスチャンスはまだまだある。一方で、進出の参考にと、先行研究を当たると、フランスについての文献は少ない。日本企業としてフランスに進出するには、どのような工夫を持ってすれば持続的な成功を手に入れられるのか。当論文では既進出企業の状況をアンケートとインタビューを通して、その成功要因を研究した。
研究に際しては、先行研究を元に、7つの成功要因の要素を抽出した。即ち、@知識伝播、A組織形態、B現地リーダーシップ、Cスタッフ、Dコーディネーター、E外部との関係性:学閥ネットワーク、F外部との関係性:イメージ、である。これらの要素を軸に仮説を構築、フランスに進出した日本企業の状況を、その参入期と成長期とに分けて、定量、定性の両方法を用いて実証分析する形で検証を行った。
結果、7つの要素毎の方向性が明らかとなり、次の提言を行った。まず、参入期には合弁や買収でいち早く現地の優秀な人材の確保を行い、学閥ネットワークへアクセスすることが必要である。また、成長期にはフランスから日本への知識伝播を重視し、スタッフの現地化を進めて、日本人コーディネーターに依存しない形を作ることが重要である。しかし、フランスに競争優位の源泉を求めて進出する場合にはその限りではない。成長期の現地リーダーシップのあり方は、トップダウンであっても、個々人の主張を受け止め、納得感を持たせるよう注力が必要である。また、日本企業イメージについては、製品特性により利用の是非を見極め、実績が伴ってきた時には、その積極的利用を検討すべきである。
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Last updated 05/03/10