KOBAYASHI Laboratory
M28 植松 泰右
『日本の産業再編と企業戦略 −1990年代以降における製紙産業・セメント産業の事例研究による整理と展望−』
1990年代以降の日本の産業再編に関して、製紙産業、およびセメント産業の事例分析を行った。事例分析を通じて、バブル期以降の当該産業における企業戦略の目標を確認した上で、産業再編の効果を整理した。産業再編における企業の主要な目標は、市場の寡占化による価格変動の安定化にあるものと考えられる。再編過程を通じて、価格変動のうち下落の抑制は確認された。しかし、寡占化によって、価格の上昇が起こるとは限らない。また、再編後の企業シェアの分布に関して、プライスリーダーが存在する市場構造においては、プライスリーダーの存在しない市場と比較して、価格安定の効果は高いものと思われる。再編を通じて製紙産業、およびセメント産業では、収益性の改善が見られる。しかし、成長性は国内市場の成熟化に伴って低い水準となっている。化学工業、自動車、および鉄鋼のような海外市場の存在する産業と比較すると、内需依存度の高い産業の成長性は低い。したがって、今後の企業戦略においては、再編による国内市場の収益性改善と併せて、事業の海外展開による成長性の実現が重要である。
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Last updated 05/03/10