Message from the Program Director
「時代を先導する経営者」の養成を目指して

 日々の職務で意思決定を繰り返し、企業や組織のために奮闘されているきわめて優秀な経営層・管理層の方々が毎年KBSのEMBAの扉を叩いて入学されます。全員がそれぞれの業界や領域ですでに高度な専門性と経験を備えたプロフェッショナル達です。そうした各界のプロ達が社交辞令を取り払って切磋琢磨し、時にぶつかり合い、長きにわたる人間関係を築いていきます。
入学したエグゼクティブ達が最初に遭遇するのが入学時に始まる「ビジョナリー」科目です。30年後の未来を見据えて現在取り組むべきことを深く考察します。さらには国内企業や地方創生の課題に現場検証を通じて取り組む「フィールド」科目、海外での新事業創造に取り組む「海外フィールド」科目など。このEMBAには、コア科目における各機能領域のケース討論や座学に加え、これまでになかった多様な学習フォーマットが用意されています。

 こうした多角的な学習フォーマットに反映されている基本方針は、経営を捉える視座も多角的であるべきだという考え方です。これまでのビジネススクールでは、純粋に企業の金銭的価値の最大化のみをゴールとして、それに向けた経営資源の最適配分方法を学習の主眼に置いてきました。しかしそうした単純明快な時代はすでに終わっています。金銭的価値を「持続的」に高めるためにも、また社会に存在する企業が経済空間のみならず社会全域に対してどのような存在であるべきか、様々なステークホルダーと共に何を目指し、いかなる活動を行うのか。最終的にどのような社会を構築していきたいのか。KBSのEMBAでは、こうした大局的な視野に立つ経営を推進するための能力と体験を強化します。

  一方、昨今では、地政学リスクの増大や政治経済のパワーバランスのシフト、突発する大規模自然災害など、既存の常識が覆るほどに不確実性が高まっています。明日何が起こるかもわかりません。こうした事態に適切に対応するには、上記の大局的視野に加え、きわめて柔軟な経営資源の組み換え(短期のアジリティ)を執行していくセンスと実行力が求められます。すなわち長期視点と短期の柔軟性という一見すると相反する視点の両立(広義の両利きの経営)が肝要です。

  KBS創設の精神である「真の経営者養成」を目指して、EMBAでは、不確実性の先に何を実現したいのかという大局的視野・ビジョンによって人々の心を捉え、同時に適時適切に柔軟かつ合理的な判断を下して実行できる、「時代を先導する経営者」の養成を目指しています。ぜひKBS EMBAの扉を叩いてください。

岡田 正大
OKADA, Masahiro
経営管理研究科 教授
EMBA Program Director

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