柴田 穣 氏

積極的な海外戦略に生かされるKBSで得た学び・経験・人脈


柴田 穣 | 大幸薬品株式会社 海外事業部 部長 | 2010年摂南大学薬学部卒業 | 2019年経営管理研究科 修士課程修了

経営者となることを目指して

父はもともと外科医でしたが、請われて大幸薬品に入社し、2004年に副社長に就任しました。その頃から自分が将来、会社経営の一端を担うことになるという自覚が芽生えました。家業を意識し、大学は薬学部に進学し、卒業後は外資系製薬企業で医薬品情報担当の営業として経験を積みました。

2015年に満を持して父が社長を務める大幸薬品に入社し、経営企画部で社全体の経営戦略に関わる管理会計の仕事に取り組みました。やがて自分自身のビジネス知識や経験、人脈の不足を痛感し、このままでは自信を持って経営を担うことはできないという焦燥感を覚えるようになりました。そして、30代後半に経営者になることを目標に据え、それまでに自分自身のビジネス能力を効率的に飛躍させる手段としてMBAの取得を決意しました。

海外のビジネススクールへの留学も考えましたが、自分が学ぶ目的は、英語ではなくビジネスであると思い直し、国内のビジネススクールを検討した結果、充実したケーススタディの学びと、留学生を含めた同級生・同窓生の強力な人的ネットワークを有するKBSへの入学を決めました。

かねて大幸薬品の持続的な成長のためには、海外売上高比率を高めることと、それを支える人材の確保が必要だとがえていました。KBSに入学するにあたって期待していたことの一つが、自分と共にグローバル戦略を推進できる人材との出会いです。
その期待はかなえられ、現在、当社の海外事業部門、マーケティング部門で当時の同級生が活躍しています。

柴田 穣 氏

刺激的なKBSの学び

KBSに入学すると、大量のテキストが配付されます。初めて目を通した時には、学びへの期待の気持ちが抑えられず、興奮して眠れなかったことを思い出します。在学中は余田拓郎先生のゼミに入り、マーケティング分野を中心に学びました。余田先生には厳しくご指導いただきました。先生の思考プロセスを必死に追う中で、課題の把握力・解決力が身についていくように感じました。

同級生には私と同じように事業承継を考えている学生や、有名企業から派遣された学生、そして各国からの留学生などがいて、ビジネススクールならではの出会いがたくさんあり、知的な刺激に満ちた学生生活を送ることができました。

1年次は休職してKBSでの学びに集中しましたが、2年次からは徐々に仕事に復帰しながら学びを進め、「カテゴリー・イノベーションを起こすための持続的マーケティング戦略ー事例研究によるカテゴリー創出における規定因の導出ー」というテーマで修士論文に取り組みました。

また、同級生と一緒に学内外からの参加があるビジネスプランコンペティション「委員長2017KBS×Gunosy」に参加したことも得がたい経験となりました。私たちはペットの往診サービスのモバイルアプリケーションのビジネスモデルを発表し、なんと優勝の栄誉に浴しました。

KBSで学ぶことの大きな魅力は多様なバックグラウンドを持つ同窓生や修了生と、世代や立場を超えたつながりを持てることです。在校生と若手同窓生の交流の場「KBS若き血会」などを利用して積極的に人脈を広げていくことが大切だと考えます。


世界の除菌総合ブランドに

KBSを修了後、海外事業部戦略企画マネージャーとして職場に復帰しました。台湾や中国を中心に現地法人設立やWeb事業展開などを推進し、現在は海外事業部部長および欧州、中東、中南米の新規マーケット開拓を手がける新会社「大幸薬品インターナショナル株式会社」の代表取締役社長も務めています。そして、前述したとおり、私と共にKBSの同級生たちが海外事業の戦略策定と実行において大きな役割を果たしています。台湾の販売会社を買収する際には「財務管理」という授業で教わったDCF法による企業価値算定の手法が役立ちました。

KBSでの2年間を経て、事業に携わりながら不確実性が高い事象への対処や論理立てた物事への進め方など、経営に携わる覚悟と実行力を得たと実感しています。今後は海外戦略と同時に「正露丸」「クレベリン」という弊社の二本柱を土台として周辺カテゴリーへの拡大を目指すコーポレート戦略にも注力していく予定です。

私ども製薬企業が果たす役割は近年ますます高まっています。クレベリンを中心に世界的な除菌総合ブランドを確立することが、現在我々に課せられた責務です。KBSで得た知識・思考法、そして人脈を生かして、今後も弊社だからこそできるビジネス新展開と社会貢献を積極的に推し進めていきます。

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