Yujia Huang
2022年Northwestern大学卒業(歴史学専攻)後、2024年4月よりKBSへ入学。
慶應義塾大学大学院経営管理研究科MBAプログラムには、少数ではあるが新卒で入学する学生がいる。実務経験がある=周囲への貢献度の高い議論ができる、という式が成り立たないことは、多くのビジネススクール生が体感するところである。そこで、ビジネススクールで重要となる'自身'の成長と、'周囲'への貢献の両面について、実際の声を聴くためインタビューを行った*。
私はアメリカの大学で歴史と英米文学を専攻しました。卒業後の進路として歴史分野での修士・PhD取得も考えましたが、今まで自分が取り組んでこなかった分野に挑戦したいとの考えからMBA課程で学ぼうと思いました。
もともと日本文化への興味が強く、日本で学びたいという気持ちがあったので日本語を勉強しつつ日本のビジネススクール入学を考えていました。KBSはケースメソッド方式でクラスのディスカッションも活発でインタラクティブな学び方ができると感じ入学を決意しました。
非常に苦労しました。まず言語の壁という点では、1年次の1学期、早いペースで進むディスカッションにキャッチアップすることに苦労しました。しかし、2学期に入ると日本語が徐々に上達してきて、少しずつ理解が深まるようになりました。ただ、今でも日本の漢字の読み方に困ることがよくあるので、良い覚え方があれば教えてもらいたいです笑。
科目面では、初めてビジネスを勉強することもあって、キャッチアップが非常に大変でした。特に、経営科学や会計管理など今までにまったく馴染みのなかった分野で一層そのことを痛感しました。また、自分に社会人経験がないため、わからないことも多く、グループディスカッションが大変に感じる時もありました。ただ、3学期は選択科目の時間が増えるので、興味のある分野を深く学べると期待しています。特に、歴史とビジネスを両方勉強できる日本の経営環境という授業を楽しみにしています。
村上先生の会計管理の授業での「Kansas City Zephyrs Baseball Club」のケースが印象的です。スポーツ業界を普段とはまったく異なる経営/会計の視点で初めて分析したのが新鮮でした。
はい。プレーヤーの報酬制度はシンプルでわかりやすいはずだと思っていましたが、会計管理には人間の意思が入る余地があり、会計は両刃の剣だと実感しました。
また、ケースはステークホルダーたちのディベートのように展開されており、まるで自身がケースの建前を超えてその裏にある本音が何かを探るようで面白かったです。
実際のビジネスも、多様なステークホルダーがおり、それぞれの思惑が数字に現れていることを知りました。相手の思惑を類推する際に、このような数字や会計方法から読み解き、隠れたものを明らかにするという非常に面白いケースでした。
モチベーションは、先生から得られる部分が大きいと思います。先生が面白い授業をしてくださり、その熱意が伝わってくることで、モチベーションにつながっています。さらに、クラスへの貢献度が業績評価に占めるウェイトが大きいため、しっかりとバリューを出せばしっかりと認められる、そしてさらに頑張る、というふうに業績評価も自分に良くワークしたと思います。。
論理性に関しては、大学で鍛えられました。文学部の時には、与えられた情報をもとに、何が言えるのか、どこまで言えるのか、どこからがオーバーディスカッションなのか、徹底的に訓練しました。また、同時に何ページに何が書いてあるかの根拠を述べる必要があり、そのような細部にこだわるクセが今でも活きていると思います。
今は戦略コンサルタントとして働いてみたいと思っています。大学一年時に訪れたキャリアフェアでは、外資系金融業とコンサルティングファームの会社ばかりであったことや、加えて実際に大学の友人たちもこれらの業界への就職が多かったため、その影響を受けていると思います。戦略コンサルタントは、さまざまな業界で違うタイプのプロジェクトに携われるチャンスがあり、学ぶことが多く、初めて働く自分にとって魅力的です。ただし、中期的・長期的にどんな仕事をしていきたいかは今まさに考えているところです。自分はどんなことが好きか、本当に将来何をやりたいのかを都度、整理しています。
文系を勉強した大学時代には、周りの先生や学生がビジネス的な発想を嫌う風潮があり、KBS入学最初の頃はビジネスに対してコンフリクトを感じましたが、最近は以前より客観的にビジネスの世界を見られるようになった気がします。ビジネス的な発想に善悪がある訳ではなく、これもツールの一つとしてとらえるようになりました。将来的にはビジネスの世界に残るかもしれませんし、歴史や公共政策などの修士・博士課程への進学をする可能性もあります。
私は実務経験がなく知識不足のため、周囲との実力差に落ち込むことが多々ありました。しかし、周囲の方々は基本的に働いており、さまざまな経験を積んできた優秀な方々です。言うは易く行うは難しいですが、人と比較しすぎることなく、ある意味割り切る力が重要だと思います。
新卒の方は、スクリーニングにおいてユニークで能力のある方が選ばれますので、自信を持って、自分ならではの価値を発揮できることを信じてください。また、そのような経験がある方々から学べる貴重なチャンスが与えられる環境はなかなかないので、困難な環境でもポジティブに、そしてたくさん吸収することが大切です。
*本記事は、慶應義塾大学ビジネス・スクール学生により、M47期広報委員会独自タスクである
<ビジネススクール連載 〇〇に聞く>の一環で企画、作成された。