2024年9月2日

【MBA】2024年度劉慶紅ゼミ活動報告

 

 2024年7月30日~31日、劉慶紅ゼミの有志による合宿を関西で実施いたしました。合宿の目的は、2022年に惜しくも逝去された京セラ創業者の稲盛和夫氏の関連施設を訪問し、その経営哲学を学ぶことにあります。

 まず、京都市伏見区にある京セラ本社に併設されている「稲盛ライブラリー」を訪問いたしました。「稲盛和夫の人生哲学、経営哲学である京セラフィロソフィを学び、継承することを目的に2013年に開設」された施設です。今回特別に、1970年代に京セラに入社され、生前の稲盛和夫氏の薫陶を受けた京セラ社員の方が、経験に基づく解説を交えながら、稲盛和夫氏の事績や思想を伝える様々な展示を案内してくださりました。

 京セラ社員の方が強調したのは、稲盛氏の「愛され力」です。京セラ創業時、自宅を抵当に入れてまで出資した方がいたり、DDI創業時も、競争相手であるNTTの技術の中核を担う開発部長が、稲盛氏に惚れ込んで馳せ参じたりするなどのエピソードが紹介されました。事業に際して稲盛氏は、「動機善なりや、私心なかしりか」と自問自答したことは有名ですが、私心のない動機で夢を語る稲盛氏のプレゼンテーションは、聴く人の心をとらえ、ワクワクとさせるものであったと言います。稲盛氏の経営哲学は、多くの著書を通じて知ることができますが、面識のある方の話を通じて、稲盛氏の人間性に触れる貴重な経験となりました。

 次に大阪府茨木市の立命館大学の「大阪いばらきキャンパス」を訪問しました。ここには、「稲盛経営哲学研究センター」があります。CSRやESGなどが唱えられ、企業による社会貢献が求められる現在、経営倫理を抜きにして、経営戦略を論じることができなくなっており、企業観そのものも大きく変わろうとしています。そうした中、「利他の心」を経営の根幹とする稲盛氏の経営哲学は、新しい企業の在り方を示すものとして国際的にも注目されています。

 これまで長年にわたり稲盛経営哲学の研究を行って来た劉教授によれば、稲盛経営哲学の真の普遍性の確立には、まだまだ研究すべき課題が多くあると言います。その際に稲盛氏を妄りに崇拝すべきではなく、批判すべき点はしっかりと批判して、厳密な哲学的思考や定量的な分析によって研究すべきであるとし、今後KBSが稲盛経営哲学の研究において国際的な拠点になる夢について語りました。

 参加したメンバーにとっては、劉教授による経営学の果たす役割や研究手法に関する熱い話を聴きながら、今後の自らの研究テーマについて考える機会となりました。2日間の短期間ではありましたが、通常の授業とは異なった環境で、学びを得る絶好の機会となりました。

劉ゼミ M46 ゼミ生一同

稲盛ライブラリー訪問時、劉教授、ゼミ生、京セラ社員の方で、稲盛和夫氏のパネルを囲んでの記念撮影

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