2025年09月16日
2025年7月26日~8月3日までの期間、EMBA11期生による「海外フィールドA」が開催されました。本科目では、環境分析と事業機会に関して綿密な事前研究を行い、事業仮説を構築した上で、カンボジアでの見聞・体験を通じて、現地市場ニーズやビジネス展開、社会問題の解決の可能性を探求しました。
医療・ヘルスケアチーム、農業チーム、環境ビジネスチーム、文化・IPビジネスチームの4チームに分かれ、カンボジアの企業、非営利組織、産業振興団体・省庁等を訪問し、現地調査と意見交換を行いました。一般家庭の暮らしぶりの観察やインタビュー、現地ビジネススクール等での経済・経営関連の教員との意見交換・議論を通じ、事前に考察したビジネスモデル等の検証とその発表を行いました。
◆医療・ヘルスケアチームでは、カンボジア国内では想定よりも薬剤が手軽に入手できる半面、薬剤の服薬指導を含む情報提供が進んでいない状況を踏まえ、患者さんが「安心して薬を服用してもらえる環境」というJapan Qualityを提供するビジネスモデルの提案を行いました。
◆農業チームでは、稲作がカンボジアの主要産業でありながら、経済面および環境面での構造的な課題に直面していることを踏まえ、「米の売価向上」・「もみ殻の最大活用」による、農家・農協を中心とした資源循環型ビジネスモデルの提案を行いました。現地で農協や農業NGO等を訪問し、生の声を聞くことにより、初めて気付く点も多く、実態を正しく捉えることの重要性を実感しました。
◆環境ビジネスチーム(太陽光・蓄電池等)では、カンボジアにおける停電の課題に着目し、アパートメントオーナーに対して、金融スキームを活用した太陽光発電・蓄電池システムの導入提案を行いました。この提案は、賃貸人への安定的な電力供給を通じて物件価値の向上を図るとともに、電気料金の削減というメリットを訴求するビジネスモデルでした。実際に現地の銀行、不動産会社、太陽光発電デベロッパーを訪問し、カンボジア特有の課題や電力市場の実態について理解を深め、議論を重ねました。
◆文化・IPビジネスチームは、リアムケー神話やアプサラダンスといったカンボジアの壮大な伝統文化をIP(知的財産)の源泉と捉え、現代のデジタルエンターテインメントを通じてその価値を再創造し、世界へ発信することを目指しました。これにより「伝統文化の継承」と「クリエイティブ産業の振興」を同時に実現します。この取り組みは、デジタルクリエイターに新たな活躍の場を提供し、カンボジア国内のクリエイティブ産業の振興と技術力向上に貢献するビジネスモデルとして提案を行いました。
今回、事前研究に基づく事業仮説の現地調査を通じて、4チームがそれぞれの社会課題に向き合い検証を行いました。これらの取り組みは、持続可能性と社会的インパクトを両立するために実現可能なビジネスプランを考案する、実践的な学びとなりました。各ビジネスプランの提案は、単なる収益追求ではなく、現地の社会課題に根ざした「共創型ビジネスモデル」であり、今後、新興国における課題解決型ビジネスの可能性を広げていくことが期待されます。
現地で通訳いただきました中村智氏、およびカンボジア国内の訪問先の調整およびサポートいただきましたスタッフの皆様方に、この場をお借りして御礼申し上げます。誠にありがとうございました。
E11 奥山理沙および海外フィールドA各チームリーダー