2024年9月18日
2024年8月13日20時から、冨田 勝教授( 鶴岡サイエンスパーク代表理事 /慶應義塾大学名誉教授)のご厚意により、「鶴岡のイノベーション文化」と題して、KBSで学ぶ学生向けに特別講義(オンライン)を頂戴しました。EMBA1年の自主企画ながら、EMBA2年やフルタイムMBAの1-2年からも幅広く42名が参加し、聴講と質疑応答での議論をおこないました。
今年の4月にKBSに入学してからというもの、平日は会社勤務、週末は学業と、目の前の膨大なタスクに必死で取り組むあまり、ともすると、それらの目的や大義を見失いそうになる時があります。冨田先生のご講義は、そんな私たちに、「一度立ち止まり、何のために学び、何のために働き、何のために何をしたいのか、するべきなのか」を深く考えるきっかけをくださる、とても貴重なご講義でした。
冨田先生は、慶應義塾大学を卒業後、カーネギーメロン大学に留学され博士課程を修了。1990年より慶應義塾大学環境情報学部助教授、教授、学部長、先端生命科学研究所所長をご歴任され、2023年から慶應義塾大学名誉教授として研究を続けておられます。
2001年に鶴岡の田んぼの真ん中につくられた慶應義塾大学先端生命科学研究所とその周囲に形成される鶴岡サイエンスパークからは、2003年に慶應義塾大学から初のベンチャーであるヒューマン・メタボロームテクノロジーズ(HMT)を筆頭に、国内唯一のディープテックユニコーンであるSpiberやスイデンテラスを運営するSHONAIなど9社のスタートアップが生まれ、その全てが存続し、成長し続けています。
特別講義の中で、私が最も感銘を受けたのは、「異端妄想のそしりを恐れることなく、勇を振て我思う所の説を吐くべし(福澤諭吉「文明論之概略」より)」という福澤先生のお言葉を紹介され、「本当のブレイクスルーというのは最初『ホラ』に聞こえる」と言うお話です。「鶴岡の奇跡」と言われる、スタートアップを育む環境は、「普通は0点」と他人が取り組まないことに取組み、批判や失敗を恐れずに自分の信じる大義ある未来に向かって挑戦し続けるというマインドセットと、江戸時代から庶民が人生を考え歩いた出羽三山に抱かれた庄内という土地柄によって形成されているのだろう、と想いを馳せ、在学中に一度は訪れてみたいと感じました。鶴岡では年に2回、企業人向けの研修合宿が実施されているそうです。
KBSでは、経営学を学ぶだけでなく、このような特別講義や企業経営者との討論など、様々な領域の第一線で活躍される方々の心を揺さぶるお話をお聞きすることで、将来の経営者としての自覚と覚悟も磨き上げていけることに、改めて喜びを感じました。
E10 広報委員 仲田 育弘
冨田教授 詳細ページはこちらより