2024年11月18日
2024年10月18日(金)、「経営者討論B」(第5回)が開催され、株式会社ケイファーマ 代表取締役社長の福島弘明様より、「慶應義塾大学発スタートアップ『ケイファーマ』の現状と展望〜iPS細胞を活用した創薬と再生医療の二刀流経営〜」と題して、ケイファーマ設立の背景や想い、そしてケイファーマの事業がもたらす社会的価値についてお話をいただきました。
株式会社ケイファーマは、慶應義塾大学医学部発のスタートアップであり、iPS細胞(人工多能性幹細胞)を活用した創薬事業と再生医療事業という「二刀流経営」を掲げています。起業から今日に至るまでの経験をお話いただき、終始一貫して、大手製薬企業在籍時から福島社長が抱いてきた、有効な治療法のない神経難病等に対する創薬の実現への想いを強く感じられました。事業に関しては、iPS細胞を用いた創薬の革新や既存薬ライブラリーの活用を通じて、治療薬をいち早く患者に届けることを目指す「iPS創薬事業」と、従来難しいとされていた神経再生技術の実用化を目指す「再生医療事業」について、具体的な臨床試験データを交えながら熱心にご説明いただきました。アンメットメディカルニーズの充足という大きな社会的課題に対し、ケイファーマが中枢神経領域で果たそうとしている革新的役割の重要性を改めて感じさせられました。
福島社長は、中学校理科教諭から大手製薬企業を経て、慶應義塾大学医学部在籍中に起業に至るという異色のキャリアを歩んできた経営者であり、我々慶應ビジネス・スクールExecutive MBA(EMBA)の4期生でもあります。講演では、EMBAでの学びや個人研究の成果についても触れられ、質疑応答では、起業における苦労やケイファーマの事業運営及び自身の経営者としての将来についてなど、活発な討論が行われました。討論を通じて、福島社長の「何事もやってみなければ成否はわからない」という挑戦を続ける姿勢と、有効な治療法のない患者さんに希望を届けるという強い使命感に深い感銘を受けました。また、挑戦を始めることに年齢は関係なく、過去の経験・知識が武器となり、足りないところは仲間や自身の学びによって補完することで、自己実現に近づくことができるということに気付かされ、今後の学びと挑戦への強い意欲をかき立てる貴重な機会となりました。
E10広報委員 伊東克晃