2024年11月08日
2024年8月~9月の10日間にわたり、KBS M46(現修士2年)の齋藤卓爾教授ゼミに所属する有志3名で、群馬県が主催するプログラム「ぐんまネクストジェネレーター トライアル」に参加しました。
本プログラムは、群馬県が主催し、フィールドワークを通じて群馬県内の中小企業の課題解決に挑戦することを目的としています。
(ぐんまネクストジェネレーター事業の専用サイト)
有志3名はKBSに進学する前、製造業で購買、銀行で営業・企画、報道機関で記者としての業務経験があり、本プログラムを通して、KBSで学んだ経営の知識や課題解決の手法を、実際の企業経営の現場で生かしてみたいと考えていました。
群馬県や事務局との面談を通じ、「下仁田ネギ」で有名な下仁田町のこんにゃく製粉業・荻野商店に受け入れて頂くこととなりました。
荻野商店は、1916年創業の100年以上の歴史を持つ企業で、現在の荻野匡司社長は3代目にあたり、甥の齋藤裕介専務が2年後に事業承継予定です。
今日、こんにゃく業界を取り巻く環境は激変しており、高齢化によりこんにゃくの消費量は減少しています。荻野商店では、こんにゃくやしらたきなどの「一般こんにゃく粉」事業から、とろみをつける用途や食品添加物の一種である増粘多糖類としての用途として「革新こんにゃく粉」事業への売上拡大シフトを進めています。革新こんにゃく粉の技術を持つこんにゃく粉メーカーは日本でもわずか2社で、高い技術力を誇ります。
本プログラムでは最終的に、荻野商店の組織体制や、革新こんにゃく粉事業の拡大戦略について提言することを目指しました。
有志3名が本プログラムで注力したのは主に下記3点です。
①社員インタビュー
事業承継予定の齋藤専務とのディスカッションはもちろん、一般従業員との対話も大事だと考え、約20名の従業員のうち、7割に当たる14名の方に計15時間超のインタビューを行いました。従業員インタビューの際に経営陣には席を外してもらい、"本音"で語ってもらう環境を作ることを意識しました。そして、KBSで学んだ「顧客インサイト」のフレームワークを、「従業員の仕事に対する満足度」に焦点を当てた形でアレンジし、従業員の本音の声をあぶり出しました。結果として、経営者視点と従業員視点の双方の意見を探ることで、より良い提案に繋がると感じました。
②KBSの同級生を現地に招いた「スタディーツアー」の企画
KBSの同級生に下仁田町まで足を運んでもらい、会社概要の説明や工場の視察に加え、齋藤専務と「事業承継のディスカッションタイム」を設けました。将来の事業承継を見据え、日々学んでいるメンバーが、自社の悩みや境遇を基に意見を交換し、またスタディーツアーに参加した同級生のアイデアも募ることで、荻野商店をよりよくするための提案を行うことにも繋がりました。
③メディア露出
本プログラムをフックとして、荻野商店とその魅力を多くの人々に知ってもらうことで、革新こんにゃく粉事業の拡大に継続して貢献できると考えました。
メンバーの売り込みにより、9月17日のエフエム群馬「news ONE」の特集枠でOA。本プログラムの概要説明、荻野商店側と有志3名それぞれの参加動機、実際にプログラムに取り組んだ感想が紹介されました。
同様に、9月26日の群馬テレビ「ニュースJUST6」でも、OAされました。
(Youtubeリンク:中小企業の課題解決に挑戦 学生が中間報告 群馬・下仁田町(24/09/26))
プログラム最終日の9月30日には、齋藤専務や群馬県事務局などに対し、最終プレゼンを行いました。
荻野商店の齋藤専務は、「今回のプログラムで、当社の真の改善に繋がるご提案を多数いただき、ありがとうございました。事業会社からは出てこないご提案だったと思います。今後可能な限り提案内容の実践をしていきたいと思います」と語ります。
主催した群馬県産業政策課の担当者は、「伝統産業の場で革新的な企業・挑戦的な経営者と出会う、他では得られない『リアル』を体感いただけたかと思います。これからも群馬でのセレンディピティにご期待ください!」と意気込みます。
最終プレゼンを踏まえて、「改善提案ロードマップ」も策定しました。半年後にその取り組みの成果を確認する予定で、我々の改善提案は実を結ぶのか――。
これからの荻野商店の活躍が楽しみでなりません。
M46 田口卓 松本優子 山本興陽