2024年12月05日

学生有志による「組織・人材開発勉強会」開催報告

 「KBS入学前、韓国空軍に所属し、20代半ばで250人の部下がいた。その時にこの勉強会に参加できていたら、もっと良いマネジメントが出来たかもしれない」。勉強会に参加したM46期(現修士2年)のイ・ヨンジュンさんはこう満足げに語る――。

  2024年10月25日、東京都港区のリンクトイン・ジャパン本社にて、慶應ビジネス・スクール(KBS)の学生有志による「組織・人材開発勉強会」が行われました。

  全日制プログラムのM46期(現修士2年)、M47期(現修士1年)、エグゼクティブプログラムのE9期(現修士2年)、E10期(現修士1年)の他、KBSのOB・OG、システムデザインマネジメント研究科の現役学生など約40名が参加しました。

 本勉強会には、講師として、ソニーグループ株式会社 組織開発アドバイザー 望月賢一氏をお招きしました。望月氏は、ソニー人事センター長、ソニーグループの業務支援サービス会社であるソニーピープルソリューションズ株式会社で社長を務めるなど、約40年間ソニーで組織開発、人材開発をリードしてきた人物です。

  「自分のキャリアは自分で築く」――。

 ソニーで働く社員には、こうした意識が根づいていると社内外から評されます。ソニーの人事担当者として、どのような経験をしてきたか。数々の経験から望月氏自身が導き出した理論を参加者に伝授していただきました。

 印象的だったのが、今流行りの人的資本経営の根本認識。一般的には、社員の知識やスキルを「どのように活用するか」という、経営陣や管理職層を主語とした文脈で語られることが多いです。しかし、望月氏は、「人的資本は"社員"が保有するもの。決して会社が保有しているのではない」という認識を強調します。

 一口に「人的資本経営」といっても、立場が変われば、見え方も変わるもの。「社員が保有するもの」という前提を強く持つことで、主体性や自律性を引き出す契機になると強調しました。

  望月氏は、「人的資本は社員が保有しているもの。人的資本経営が目指す社員と会社が互いに選び選ばれる関係は、社員が持っている主体性を活かすということだ。その支援を通じて社員の帰属意識やエンゲージメントを高めることができる。そのためにも、SOR(System of Record)思考とSOE思考(System of Engagement)の違いを理解した施策を勧めたい」と語ります。

 前者のSORが「オペレーションの業務効率改善」であるのに対し、後者のSOEが「エンゲージメント・パフォーマンス向上」に重点を置くもの。区別して考えることで、HRDXへの道筋を描けることに共感する学生も多くいました。

 終了後には、その場で懇親会も行われ、ドリンクを片手に、勉強会の感想や所属する企業での悩みも共有し、ざっくばらんに情報交換を行いました。

 本イベントを企画したE10期の松田恵利子さんは「社会人としてMBAを学ぶ私たちにとっても、人材を資本と捉え、企業の価値向上につなげる人的資本経営は大きな関心事項。望月氏のHRDXにおけるSOR思考とSOE思考の理論は目から鱗だった。業務における組織・人材戦略に活かせるインサイトを頂くことができた」と振り返ります。

  今回の勉強会は、望月氏の講義により、KBSで学んだ組織や人事の知識を、より腹落ちさせることができました。
 
 学んだ理論を、どう実務に落とし込むか――。

 日頃の学びの延長に設けられた本勉強会。ビジネススクール生を悩ます問いの答えが、ここにありました。

KBSM46期 山本興陽

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