2024年12月23日
2024年12月3日に、翁百合氏(株式会社 日本総合研究所 理事長・政府税調会長)をお招きし「企業経営と金融・経済動向:人口の視点から」をテーマにKBS在校生/卒業生を対象とした特別講演が開催されました。E9/M46(修士2年)・E10/M47(修士1年)に卒業生を加え約90名が参加しました。 翁氏は、当研究科修士課程(M5期生)修了後、日本銀行に勤務されたのち、日本総合研究所では主席研究員を経て現在理事長として活躍されています。本年4月には政府税制調査会会長に就任されました。
講演内容は、「人口が高齢化しながら急減していく」という日本の課題に対して、人口定常化(=出生率の増大)と経済強靭化(=経済成長)という両輪による解決を目指すうえで、女性の就業環境の改善を含む企業のなすべき行動は何かという視点でした。昨年後半以来、賃上げによる成長と分配の好循環がようやく実現する機運が高まりつつあり、さらなる人的資本への投資、女性参画、イノベーションの発揚を重視する戦略の重要性が述べられました。
質疑応答ではテクノロジー(AI)のもたらすインパクト、中小企業に対するDX推進の必要性、新しい資本主義の在り方などをめぐり、活発な議論が展開されました。
強い印象をもたらしたのは、「強靭化戦略を貫く"背骨"にあたる考えは『人への投資』の強化である。これは世代に関係ない」というメッセージでした。人生100年時代とされている現在社会において、リスキリングや学び直しは不可欠な要素です。企業はもちろんのこと、企業に属する個人も自身を"人財"と捉え、そこへの投資の重要性を理解した上で、個人の自己成長や自己実現につながるキャリア形成(=「彩り」のある働き方)が実現し、ひいては企業の持続可能な成長に繋がるものと考えました。
記事執筆:講演発起人E9与田慎也