2025年01月24日
2024年12月20日(金)「経営者討論B」(第7回)が開催され、株式会社丸松製茶場 代表取締役社⾧ 佐野晋介様にご登壇いただき「日本茶業界のこれから」と題して、お茶の販売の難しさや、伝統を守りつつ世界に広げる取り組みについてお話をいただきました。
丸松製茶場は、1899年に松下幸作氏が松下工場(現丸松製茶場)を創立し、高林式茶葉粗揉機の製造販売を開始したことから、その歴史がスタートしました。現在、佐野社長は6代目の経営者として、生産者から仕入れたお茶を国内外に販売するビジネスを展開しています。講演では、茶畑で摘んだ茶葉が荒茶(一次加工)・仕上げ加工を経て最終製品になるまでの複雑な製茶工程や、静岡県における茶業界の現状について詳しくご説明いただきました。また「お茶は味のイメージが湧きにくい商品」とおっしゃる佐野社長が、実際にお茶を淹れて味わう体験を提供してくださいました。これにより、受講生は、お茶の香りや風味を直接感じることでその奥深さと魅力を再認識することができました。
また、講演後には、4つのテーマに沿った佐野社長と受講生とのディスカッションタイムが設けられました。その中の「高品質の原材料を調達・確保するための対応策」というテーマでは、受講生から1学期に行われた『海外フィールド』でスリランカの紅茶農園を視察した経験から、観光との融合、茶葉の品質によるランク付けとラベリング、ドローン活用した急斜面での収穫などのアイディアが出され、佐野社長との意見交換が行われました。また「中堅中小企業における事業継承についての課題と対応」については、佐野社長から受講生に対して、事業を次世代にしっかりとバトンを渡すために「家業ではなく企業をめざす」という想いを熱心にお話しいただきました。
日本の緑茶消費量の落ち込み、農業に関わる人口の減少など厳しい事業環境のなか、次世代に茶業を繋ぐために、サプライチェーン全体の持続可能性を重視する佐野社長の経営方針に多くの学びを得ることができました。今回の講演を通じて、お茶の香りが広がるように、その挑戦と情熱が私たちの心にも深く沁み渡る夜となりました。
E10 広報委員 小澤綾子