2025年10月09日
2025年8月30日(土)、EMBA 第10期の17名は、FC今治のホームスタジアム(愛媛県今治市)を訪れ、岡田武史さん(学校法人今治明徳学園 FC今治高等学校 里山校 学園長)と意見交換会を開催しました。EMBA10期では、現在「ビジョナリー」という授業で「2050年の大義ある未来を描き、その実現に向けた打ち手を講ずる」というテーマに取り組んでいます。その活動で重視しているアジェンダの一つが「教育」であり、その考察を深めるために今治を訪問しました。
岡田さんは、サッカー男子日本代表の監督として2度のW杯を指揮された実績を持つ方です。近年では教育事業にも注力されており、2014年からはFC今治(現J2)のオーナーとして、また2024年からはFC今治高等学校の学園長として活動されています。
FC今治高等学校は、「命をつなぐために、生きることの本質を問い、実践する」という理念に基づいて建学されました。岡田さんは、「AIやICTの発達により社会が大きく変わろうとしている中、教育も当然変わらなければならない」と語り、未来への深い洞察と強い問題意識を持って教育に取り組まれています。そして、瀬戸内の豊かな自然や伝統的な産業に囲まれた今治を舞台に、仲間と共に「エラー&ラーン」の学びの姿勢を重視した教育の実践を通じて、次世代を牽引する人財の育成に取り組まれています。
意見交換会では、まず岡田さんから、教育事業に取り組まれた経緯や思いについてお話をいただきました。続いて、私たち学生から「教育と人材育成に関する考え方」「教育と社会の接続、地域・企業との連携」という二つのテーマに関して質問し、岡田さんご自身の経験に基づき、丁寧な回答をいただきました。
印象的なお答えの一つは、岡田さんが生徒に対し、「どうした?どうしたい?どうして欲しい?」という問いかけを通じて、生徒の主体性や自律・自立を促すために辛抱強く見守る姿勢を大事にされている点でした。また、地域の豊かな自然資本や各界の著名人による特別講義など、社会資本(ネットワーク)を活かして"校舎内に閉じない"オープンな取り組みを展開されている点は、今後の教育の在り方への重要な示唆を与えてくれました。
さらに、岡田さんが語られた「感謝の気持ちを忘れない」「もう駄目だと思った時が潮の変わり目」といった言葉には、サッカーで数々の修羅場(原体験)を乗り越えてきた岡田さんの強い意志と覚悟が込められていました。そして、岡田さんが掲げる未来の教育の姿に対して、目の前にある課題や矛盾とひたすら向き合い続ける姿勢は、ビジネスに留まらず人生を生き抜くための本質を説いていると私たちは感じました。
私たちが出会った岡田さんは、かつてサッカー界で百戦錬磨を誇った名将でありながら、地域に根差したプロスポーツや教育を手掛けるビジョナリーリーダーへと更なる自己変革を遂げられていました。
そして、その表情は、8月末の強く照りつける陽の光のようなエネルギーと、瀬戸内の穏やかな海のような優しさに溢れていました。
私たちは、ここで得た、描いた未来の実現に向けた教育や人材育成、地域との共生、リーダーシップなど、多くの学びを糧として「2050年の大義ある未来」を描いていきたいと考えています。
最後に、このような貴重な機会をいただいた岡田さんをはじめ、関係者の皆様に心より感謝申し上げます。
E10 秋元 城司