2025年11月06日
6月にKBSで開催された「経営者討論A」の授業において、浅野撚糸株式会社(以下、浅野撚糸)の代表取締役社長 浅野雅己氏にご登壇いただきました。浅野撚糸は岐阜県に本社を置き、もともとは紡織産業の下請け工場として操業されていました。倒産寸前の状況から、下請けからの脱却を目指し、自社商品を開発してV字回復を果たしたという浅野撚糸の歴史と、東日本大震災で深刻な被害を受けた福島県双葉町へ進出を決めたという取り組みに感銘を受け、その活動を間近で見学することで学びをより深めたいという学生からの依頼を浅野社長に聞き入れていただき、EMBA1年生(E11)有志による福島での特別見学会が実現しました。
2025年9月9日(火)の早朝、東京を出発し、福島県双葉町に学生11名が到着。現地にて浅野撚糸の皆さまと合流し、その後、浅野撚糸双葉事業所、双葉町役場、震災遺構を見学、それぞれの担当の方にご説明いただきました。
浅野撚糸双葉事業所(フタバスーパーゼロミル)の工場見学では、浅野社長のご意向で、若手の方々を中心とする社員の皆様にご案内いただきました。見学後のオープンセッションで、「福島のためになにかしたい」「地元に貢献したい」といった将来の夢を熱く語られる若手社員の方々の目がキラキラしていることがとても印象的でした。人手不足が深刻化する現代において、若手社員を育成し、適切に登用することが重要であるという事例を目の当たりにしました。

双葉町役場では、復興推進課の方々より双葉町の現状と今後の取り組みについてご説明いただきました。質疑応答においては、伊澤町長自らが学生の質問に答えてくださるシーンもありました。そのなかで、「町長を突き動かしている、復興やまちづくりに懸ける根本的な想いは何でしょうか?」という質問に対して、「復興は震災前に戻すということではなく、将来の双葉町のあるべき姿を描くという揺るぎない信念のもと、全国に避難を強いられている町民の皆さんの想いを胸に、復興に挑戦する双葉町の様々な課題に取り組んでおります」というお言葉をいただき、深く心を打たれました。
震災遺構の見学においては、町の至る所で震災の傷跡が残っており、また除去土の入った黒い袋が積み上げられている光景も随所に見られました。震災の凄まじさを改めて実感するとともに、双葉町の復興は本当にスタートラインに立ったばかりという現実を体感しました。
被災地の今の姿とそこに新しく建てられた工場を実際に見て、そこで働く方々と接することで、教室では得ることができない沢山の学びを得ることができました。今回の経験は、 中長期的視点に立って企業経営のあるべき姿を考える、というEMBAプログラムのねらいと意義を改めて考える機会となりました。
最後に、貴重なお時間を割いてご対応をいただきました、浅野撚糸の皆さま、双葉町役場の皆さまに、この場をお借りして御礼申し上げます。誠にありがとうございました。
E11広報委員 笠原 康平
