2026年03月12日
2026年2月26日(木)に、今年度をもちまして退官される大林 厚臣教授(以下、大林先生)と学生の交流イベント「感謝と交流の集い」が開催されました。KBSで最後となるご講演を賜り、また、終了後の懇親会にて、歓談のひとときを過ごしました。
大林先生は1996年にKBSへご着任以来、実に30年という長い年月にわたり教壇に立ち続けられ、その情熱と深いご見識をもって、多くの学生に学びと示唆を与えてこられました。そのご指導は単なる知識の伝達にとどまらず、学生一人ひとりの人生観にまで大きな影響を及ぼしています。特にケース「八甲田山」は、学生の間でも特に高い人気を誇っています。
ご講演では「イノベーションとリスクマネジメントの共通点」を主題に、大林先生が研究を始められた当時のお話から、長年教鞭を執ってこられた「ニーズとシーズのモデリング」を中心に、学生に向けた最後のメッセージをお話しいただきました。
シーズは単なる技術的資源ではなく、ニーズとしての側面も併せ持つ両面性のある存在であるという前提に立ち、汎用性や代替性を意識しながら組み合わせを検討することで、その可能性は大きく広がるというお話は、私たちにとって大きな学びとなりました。また、ニーズとシーズ、さらにはイノベーションとリスクという一見二律背反に見える関係をモデルとして示し、それらが本質的に両面性を有することを、視点を変えることで理解できると説かれたことも印象的でした。

以下、ご参加いただいた方からの感想、メッセージを掲載します。
最終講義での「専門用語を使わず、知識がない人にも説明できてこそ真の理解である」というメッセージが大変印象的でした。私を含め、理解に時間を要することもある経営科学において、大林先生の授業が常に「わかりやすかった」理由が、この言葉に凝縮されていると深く納得いたしました。
大林先生の授業は、経営者にとって必要となる「選択」の精度を高める方法と、シーズとニーズにかかる物事の組み合わせや視点を変える発想の重要性を示してくださいました。そして、誰もが新たなイノベーションを起こせるのだという勇気と希望を、私たちに与えてくださるものでした。
素晴らしい最終講義をありがとうございました。先生のご指導のおかげで、当初は戸惑いを覚えることもあった経営科学が今では好きな科目となりました。特に八甲田山や、ニーズとシーズに関する授業は、今でも鮮明に覚えています。退官される寂しさを感じつつ臨んだ今回の講義でしたが、「イノベーションとリスクマネジメントの共通点」というテーマ、そして「ニーズとシーズ」にまつわる興味深いお話に、気づけばすっかり没頭していました 。新天地でも健康に留意いただき、さらなるご活躍を願っております。(追伸:ニーズとシーズに関する新しい書籍の出版を、心より楽しみにしております。)
ご講演における最大の学びは、試行錯誤を続けることの重要性です。将来的に専門性を身に付ける際、その本質を見極めることが大切であるということを学びました。ただ、その本質を見極める上で、失敗をすることが多々あります。それでも本質に辿り着くために、失敗を恐れず日々試行錯誤を続けることで、やがてはシーズとなり、イノベーションの連鎖に繋がると思います。私たちKBSの学生は、自身のキャリアで持つ悩みなどに対し、KBSをシーズと捉えて日々学んでおります。学生生活を通じ、失敗を重ねながら本質に辿り着くことで、より大きなイノベーションを引き起こせると確信できました。
大林先生、長年にわたる多大なるご尽力に対し、あらためて深く敬意と感謝を申し上げます。今回のご講演のほか、基礎科目のご講義では、情報が少なく不確実性の高い事象に対して合理的な選択を行うための手法を学ばせていただきました。これらの学びを通じ、様々なリスクが広がる状況下において、自らがどうあるべきか、そして物事をどう捉えるべきかを問い続ける重要性を実感いたしました。今後も大林先生から学んだ知識や視点を活かし、VUCAの時代(※)において、よりよい意思決定ができるよう努力してまいります。
末筆ながら、貴重なご講演と長きにわたるご指導に心より感謝申し上げますとともに、大林先生の今後ますますのご健勝とご活躍を学生一同心よりお祈り申し上げます。
(※)VUCA(ブーカ)時代とは、変動性(Volatility)、不確実性(Uncertainty)、複雑性(Complexity)、曖昧性(Ambiguity)という4つの要素が絡み合い、社会やビジネス環境が予測不能な状態を指す言葉です。技術革新やコロナ禍などでこれまでの常識が通用しなくなり、迅速な対応と変化への柔軟性が求められています。

M48 上田 陽平
大杉 政久
大塚 直哉
