2026年09月10日

【EMBA】2026年度「フィールド科目」活動報告Ⅳ
(鳥取県 企業研究チーム)

 

 EMBAプログラムの2年次、前半の山場となるのが「フィールド科目」です。本科目は、1年次に学んだコア科目8領域の学びと気づきを活かして、地域や企業の発展に貢献する分析と提言をまとめる必修科目です。
 EMBA11期生(E11)は2チームに分かれてフィールドワークを行いました。私たち「鳥取県 企業研究チーム」は、EMBAの卒業生である川口大輔氏が代表取締役CEOを務めている「リバードコーポレーション株式会社(鳥取県鳥取市)」(以下リバード社)にご協力いただいて、4か月間にわたって調査·分析に取り組み、最終日に、同社経営陣の同席の下、同社の成長·発展に向けた提言の報告会を行いました。

 リバード社は、1948年に創業され、「すべての生命の理想郷」をビジョンとして、農業用包装資材、イチゴや豆腐などの食品、リチウム電池パッケージなどの製造·販売を幅広く手がけています。こうした幅広い事業の中で、近年はペットフード事業に注力し、鳥取市賀露町の本社工場と、2027年に建設予定の新工場でペットフード事業の拡張を計画しています。今回は、同社の事業全般の展望とシナジーを考慮しながら、ペットフード事業を中心に検討を進めました。

 本フィールドワークに向け、私たちは、経営戦略、セールス&マーケティング、R&D(研究開発)、プロダクション(生産)、ロジスティクス(物流)の5グループに分かれて事前分析を入念に行いました。その後、鳥取本社をはじめ、大阪や東京の営業·生産拠点、さらには展示会にも足を運びました。
 鳥取本社では最新の衛生管理システムを導入したペットフードの製造ラインを見学し、経営陣や現場の最前線で活躍する皆様と直接対話を重ねました。また、同社が別事業として展開する豆腐工場や電池工場も見学し、多角化事業で培われた製造ノウハウを、ペットフード事業へ展開する可能性を探りました。各現場では、従業員の方々が品質に誇りを持ち、ペットを家族として大切にしようとする熱量と、無添加にこだわり安全·安心なモノづくりに真摯に向き合う姿を目の当たりにしました。

 リバード社は現在新工場への大型投資を控えるなど、まさに第二の創業期とも言えるタイミングにあり、全社が活気づく中で、川口CEOの強力なトップダウン経営の強みと、事業規模拡大に伴う部門間連携の課題という、成長企業特有のジレンマを肌で感じることができました。これは、提供された財務データや組織図を机上で分析するだけでは決して得られない、経営の「手触り感」と「リアルな課題」に触れる貴重な経験となりました。

 現地訪問中は、鳥取の豊かな自然環境を体感し、日本最大級の砂丘である「鳥取砂丘」や「砂の美術館」を訪れ、地域の歴史や文化にも触れることができました。また、地元の新鮮な海産物や大山どりなどの料理を囲みながら、メンバー間で夜遅くまで白熱した議論を交わし、チームとしての絆を深めました。異業種·異職種のメンバーが集うEMBAの特徴を活かし、相互の知見や経験を共有しながら多角的な検討を繰り返すことで、リバード社のビジョンである「すべての生命の理想郷」の意味をより明確に理解し、共感するようになりました。

 こうしたフィールドワークと経営データの分析を通じ、私たちは「新工場稼働に向けた筋肉質なキャッシュ創出(足場固め)」と「稼働後のトップライン拡大(飛躍)」、そしてそれを支える「自律的な組織への変革」を基軸として共有しながら、各領域のプロフェッショナルであるメンバーの知見をまとめ、授業の最終回でリバード社の皆様の前で提言を報告しました。

以下に、各チームからの活動報告と、リバード社に対する想いをお届けします。

経営戦略チーム(チームリーダー:板垣 諭史)

 このフィールド科目を通じて、地方から世界へ挑むリバード社の皆様の圧倒的な「熱量」と、経営のリアルな息づかいを実感として学びました。
 私たちのミッションは、経営企画やマネジメントの皆様と直に膝を突き合わせ、未来をともに描くこと。私たち5人は、財務·人事·評価制度という異なるパズルのピースを繋ぎ、全チームの提案に一本の強い「軸」を通す役割に挑みました。数字の奥に潜む同社の想いを汲み取り、中小企業ならではの強みを活かした変革のロードマップが、これからの挑戦に向けた指針の一つとなればと祈念しています。
 リバード社の皆様と過ごした時間、皆と真剣に取り組んだグループワークの4か月間は、大変学びの多い時間でした。この学びを自分たちの業務にも意識して活かしていきたいと思います。

セールス&マーケティングチーム(チームリーダー:小杉 崇史)

 4か月にわたり各拠点や展示会を訪問し、社員の皆様の素晴らしい人間性に触れる中で、リバード社を応援したい気持ちと提案への責任感が日増しに強くなりました。各分野におけるプロフェッショナルであるE11メンバーがEMBAでの学びを活かしつつ、大いに議論し、悩み、導きだした提案が、リバード社の今後の成長、特にトップラインの拡大とブランド価値向上に、少しでも貢献出来ることを願っています。そして数年後、鳥取でその成果を分かち合える日を楽しみにしています。

R&Dチーム(チームリーダー:青木 謙一)

 私たちは、リバード社R&Dメンバーが日頃から寡黙に製品開発する姿を拝見して、各メンバーそれぞれが自分らしく、そして誰からも愛される商品を開発できるチームとは?をテーマとして活動を進めてきました。期待品質を上回りながらも生産しやすく顧客に訴求できる製品を開発するために、リバード社が日々取り組んでいる悩みは、私たちの会社でも同様に起こっていることであり、このフィールド科目を通じて、私たち自身の仕事を見つめ直す機会になったと感じています。その中で、メンバーから生まれた多くのアイデアはまさにEMBA生の経験に基づくものでした。ペットフードプラスワン、録食、個包装、工場をPRの場にするなど、今回のメンバーだからこそ、生み出された成果です。この4か月間、チームメンバー、リバード社R&Dの皆様と開発の悩みや楽しさを共有できたことは一生の宝物です! リバード社の益々の発展、ペットの真の理想郷になられることを祈念しています。

プロダクションチーム(チームリーダー:川村 由圭)

 ペットフードの生産プロセスは、材料の調合というバッチ処理から個別包装に商品が流れていくという分岐型のプロセスであるため、多品種の生産タイミングや在庫管理に難しさが生じます。私たちは、現状の生産工程をじっくりと観察し、インタビューや資料分析を通じて課題を把握した後、新工場稼働という大きな飛躍を見据え、徹底したムダ取りと「2S(整理・整頓)3定(定品・定量・定位置)」、そして小ロット化による筋肉質なモノづくりに向けた改善方策を提案しました。現場に足を運び、日々奮闘するリバード社の皆様の高いポテンシャルを肌で感じたからこそ、トップダウンに加えて「現場主導の改善文化」を定着させ、さらに生産性を向上させることができると確信しています。現場の皆様と共に作業服を着用して現場に入り込んで汗をかき、未来の工場像を熱く語り合った経験は、私たちにとっても大きな学びとなりました。

ロジスティクスチーム(チームリーダー:津田 浩之)

 このフィールド科目を通じて、モノづくりと鳥取の潜在価値へのこだわり、リバード社の皆様の現場への誇り、山奥に忽然と現れた豆腐工場での新たな挑戦など、数字だけでは語れない学びを得ました。ロジスティクスが、単なる物流や保管という機能を超えて、物と情報の流れを整備し、経営に直結する大切な機能であることを改めて認識し、経営への貢献・効果を可能な限りデータに基づいて分析しました。関西物流拠点の構想は道半ばですが、これからロジスティクスが新工場設立に向けた全社の情報・オペレーションハブとして価値創出を支える中核になることを実感しました。リバード社の皆様と過ごした鳥取の4日間、E11の仲間と過ごしたグループワークの4か月間は最高の時間でした。

 7/11に行われた最終発表では、川口CEOをはじめとするリバード社の皆様に向けて、AIには決して代替できない人間だからこそできる血の通った提言を、熱量を込めてプレゼンしました。川口CEOからは「いただいた提言をKBS E11メソッドとして経営へ落とし込み、必ず実践していく」という身に余るお言葉をいただき、E11メンバー一同、感無量です。

 企業規模や事業領域は違っていても、それぞれの「フィールド」で挑戦し、社会に価値を創造していくという使命は同じです。私たちE11メンバーも、リバード社の皆様からいただいた多くの刺激を胸に、それぞれのビジネスの最前線でさらに成長し、また鳥取の地で再会できる日を心待ちにしています。

 最後になりますが、お忙しい中、私たちの訪問にご対応いただき、資料提供のお願いや度重なるインタビューに快く応じてくださったリバード社の皆様に、心より深く御礼申し上げます。そして手厚いご指導をいただいた河野名誉教授をはじめ、教員の皆様にも御礼申し上げます。
 感動の4か月間を、本当にありがとうございました!

文責:広報委員 笠原 康平

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