2024年7月12日
2024年6月14日(金)、慶應ビジネス・スクール(以下、KBS)にて、2024年度の「集中企業研究」公開授業が開催されました。この授業は、三冨正博非常勤講師によって2009年にスタートしました。企業を広範かつ深く分析し、トップの視点から考察する能力を育むことを目的としており、15年間にわたりKBSで高い人気を誇っています。今年度は、多様なバックグラウンドを持つ11名のKBSの2年生が受講しました。
対象企業として選ばれたのは、日本の大手デザインオフィスである有限会社nendo(以下、nendo)様です。nendoは2002年に佐藤オオキ代表と伊藤明裕マネージング・ディレクター(以下、それぞれ佐藤様、伊藤様)によって設立され、建築、インテリア、プロダクト、グラフィックデザインなど幅広い分野で数々の代表作を生み出しています。近年では、東京五輪の聖火台やポケモンカード、ローソンのプライベートブランドのパッケージ、ハンズのロゴなどを手掛け、テレビ番組にも多く取り上げられました。
「集中企業研究」では、受講生が全22回の授業を通じて、対象企業の経営者や関係者に対しインタビューを実施し、その内容を基にケース教材を作成し、公開授業に向けての準備を行います。今年度のインタビューは、青山の草月会館内のnendoのオフィスにて行われ、佐藤様と伊藤様をはじめとする経営層および所属デザイナーに対して各1時間のインタビューを3回に分けて実施しました。また、インタビュー以外の授業時間では、三冨講師によるレクチャーや、受講生主体で公開授業に向けての準備が行われました。
6月14日の公開授業には、KBS学生と外部の方々、合わせて約50名にご参加いただきました。より多くの方にご参加いただく為、授業はハイブリッド形式で開催され、対面参加者には事前に送付されたケース教材を読んでいただき、設問について考えてもらいました。当日は二部構成のクラスディスカッションと少人数のグループディスカッションが行われ、最後に受講生が考案した「我々がnendoの経営者ならどうするか」という課題についてのアイデアを発表しました。その後、伊藤様や社員様からのフィードバックを頂き、公開授業は盛況のうちに終了しました。
本授業を通じて、一つの企業を短期間で総合的に分析するという貴重な経験を積むことができました。経営者や社員へのインタビューは個別で行われたため、それぞれの視点から見たnendoを第三者視点から総合的に整理し、考え得る課題を網羅的に洗い出しました。その上で、今後の企業経営について、KBSの1年間で培った経営者的思考を最大限に活かして熟考しました。3カ月間を通して伊藤様から得た経営に関する深い洞察は、教科書では得られないようなリアリティに満ちており、今回の交流は、将来の経営者になるための心構えを養う上で大変貴重な経験となりました。
約3カ月にわたり、真摯にインタビューやディスカッションにご協力いただきましたこと、佐藤様・伊藤様をはじめ、nendoの皆様にこの場をお借りして心から感謝申し上げます。
KBS M46(修士2年)皆木陽南子