2026年06月29日

2026年4月6日から6月13日にかけて、KBS(MBA)プログラムにおいて「A.T. Kearney実践コンサルティングプロジェクト」が開講されました。
本科目は、修士2年の1学期に履修できる人気の高い科目です。
学生自らが4人1組のチームを組んで応募し、厳正な選考を通過した計4チームのみが履修を許可されます。
本講義では毎年、特定の業界から4つの企業を選定。各チームが担当企業の経営課題を抽出し、最終発表で今後の経営戦略を提言します。プロジェクト期間中は、A.T. Kearneyの現役コンサルタントや卒業生の方々が各チームのメンターとして伴走。
実際のコンサルティングに限りなく近いワークを通じて、戦略コンサルタントの思考プロセスを実践的に習得すると同時に、経営者として必要不可欠な強いマインドや高い視座を身に付けることのできる、KBS屈指のタフでエキサイティングなカリキュラムです。
今年度は、「食品小売業界の成長戦略提案」というテーマのもと、各チームが担当企業について業界分析、課題抽出、将来シナリオの策定、カスタマーインサイト調査、そして具体的な打ち手の検討に挑みました。毎週提示される高度な課題に対し、メンバー全員が納得のいくまで議論を重ねる日々が続きました。
およそ2か月半にわたるプロジェクトの集大成となる最終発表は、A.T. Kearney本社オフィス(東京ミッドタウン)にて行われ、各チームとも全力を注いだ、素晴らしいプレゼンテーションを披露しました。
本講義を通じて得た、最も大きな学びは「コンサルタントの第三者価値の重要性」です。
対象企業の真の経営課題を特定するため、私たちは、「分かるまで現場(店舗)に足を運ぶこと」を徹底しました。自分たちの目や耳で事実を確かめ、来店されるお客様にお話を伺い、さらに企業の経営層や現場の店長、従業員の方々へのインタビューを行うなど、泥臭い仮説検証を幾度も繰り返しました。
一般的に、「コンサルタント」というと、洗練されたフレームワークやツールを用いてスマートに経営を再定義する人々というイメージがあるかもしれません。しかし、実際のコンサルティングは想像以上に泥臭いプロセスの連続でした。
だからこそ、第三者という客観的な立場からクライアント(企業の経営者)の悩みに誰よりも深く寄り添い、伴走することができる、そこにこそ、「コンサルタント」という存在の真の意義があるのだと、身をもって学ぶことができました。
最後になりますが、2か月半にわたり熱心に講義をしてくださったA.T. Kearneyの皆様、そして、私たちのチームをご指導くださったメンターの鈴木様に、この場を借りて心より御礼申し上げます。
KBS M48(修士2年)松田理恵
プロジェクトマネジメント
クリティカルシンキングの活用
事業環境分析
<中間発表>
シナリオプランニング
カスタマーインサイト
事業モデル変革のアプローチ
チェンジマネジメントとリーダーシップ
<最終発表>

こういう場面で、厳しいことを書く教師はあまりいないと思いますが、率直に書きます。
今年の受講生たちは、すごく頑張ったし、能力も高かった。しかし、プロジェクトの結果、想定クライアントへのプレゼンテーションには、大きく失望させられた。私が点数をつければ0点だ。客観的に言えば50点だ。ちなみに過去の学生についても、客観的には40-60点ぐらいだろう。今年の学生も過去の学生も素晴らしかったのではある。カーニーの方々にもそう言っていただけた。しかし。アウトプットは0点だ。なぜか。
それは、コンサルティングには、頭脳は要らない。知能指数も要らない。論理も分析もフレームワークも要らない。それを学生たち(そして、世間の多くのコンサルタントたち)はわかっていない。
経営に必要なのは頭ではない。目だ。耳だ。観察力だ。よく見て、よく聞く。そして感じる。それ以外に課題を、仮説を、真実を、発見する道はない。頭も論理も分析もデータも、仮説を検証し、仮説をクライアントに説明するには必要だ。しかし、それらは真実の発見とは別だ。むしろ、自分の賢い頭が、真実の発見の邪魔になる。対象を純粋に観察できなくなる。無になれなくなる。
この授業のプロジェクトは、実は、プロのコンサルティングプロジェクトよりも難しい面がある。なぜなら、カーニーのような超一流のコンサルティングプロジェクトの顧客企業、経営者は優秀だから、優れた観察者であり、真実はすでに知っている(認めたくない場合もあるが)からである。だから、観察者には仲間がいる。観察で見つけた真実を論理的に整理する、裏付けを取る、そちらが作業としては中心になるからである(しかし、超一流のコンサルタントの観察力は抜群である)。
みなさんは、これらを両方を、一人ぼっちで(グループぼっちで)やらなければならなかった。それが難しい。まず、自分を無にして、脳みそを捨てて、純粋に観察しきることができなかった。真実の把握が中途半端なまま、頭脳を駆使したから、苦しかったのだ。
だから、できあがってプロジェクトは、戦略提案はそれなりに賢い、それなりに説得力のある、それなりにデータの裏付けのあるものだった。戦略部分だけでいえば、客観的には80点から90点ということになるだろう。しかし、真実にはたどり着いてないまま、それが示された。だから、そもそも真実の土俵に乗っていなかったのである。だから0点。失格だ。
食品スーパーの本質ってなんだ? 卒業後も、人生を通じて(実は大げさじゃない。それは変わりうるし、スーパーの本質が変わるということは社会の本質も変わっているはずだ)考えていってほしい。
卒業して、コンサルタントになっても、ならなくても、経営者になっても、ならなくても、自分を捨てて、ひたすら観察を続けて欲しい。人生も経営も、すべてはそれからだ。

本プログラムでは実際のコンサルティングに近い形でプロジェクトを推進します。担当する企業の"社長が取り組むべき重要課題"を考え、将来の社会・業界構造を見据え、企業が 持続的に社会に価値を出し続ける為の方針・戦略行動について徹底的にチーム議論し、最後に経営者(役の我々)に提言を行います。机上の検討に留まらず "現場で何が起こっているのか"の観察を重視し、また、1ユーザーの観点で各企業の将来像を考えてもらいます。現場視点と経営者の視座、プログラムマネジメントとグループダイナミクス、役員会議ロールプレイ等を通じ、将来の経営者や変革リーダーを多く輩出する事ができればと考えております。皆さんの参画をお待ちしております!
竹本 祐也様

本科目で、学生の皆さんは戦略コンサルティングのアプローチを通じて、事業課題の抽出から解決のための戦略立案を体験します。5年以上に渡り本科目に関わっていますが、常に履修する皆さんは初回と最終のディスカッションとでは"鋭さ"がまったく違っています。本科目は、コンサルとしてイメージされがちな机上の空論を捏ねるものではありません。AI時代でも活用できる、フィジカルな観察眼なども大切にしています。履修を通じて得られるスキルが、皆さんの将来の財産になればと願っています。
鈴木 徹様

私自身もMBA在学中に、本コースのように実在する企業の戦略を立案して提案するクラスを取りました。チームで侃侃諤諤の議論を繰り返しながら経営課題を特定し、戦略を描きプレゼンしました。「脳みそに汗をかき、チームと考え抜き、仮説を進化させていく」プロセスと結果が楽しく、卒業後に戦略コンサルを目指すきっかけになりました。カーニーで仕事をする中で、日本のMBA生の方々にも似たような体験をして頂けたらなと思っていた頃に、KBSとコラボする機会を頂きました。気づけば、もう10年以上も前のことです。
本コースの醍醐味は、仲間とともに、とことん考え抜き、仮説を磨き上げ、戦略をスクラップ&ビルドしながら、最終的に結論に達する苦労であり喜びだと思います。
将来、戦略コンサルタントのようなプロフェッショナルになることを目指したい方はもちろん、事業会社において外部のプロフェッショナルと協業することがありそうな方へもぜひお勧めしたいコースです。
深川 寛也様

本講座では、国内の特定業界の企業の経営課題を特定し、その背後にある真因を抽出し、経営コンサルティングの問題解決アプローチを用いて解決のための打ち手を導くところまで体験していただくプログラムとなっています。通常のコンサルティングワークとも異なり、 課題が全く定義されないまっさらな状態から始まるところに更なる難しさがあります。本を読んで学ぶのと異なり、実際にチーム一丸となって手を動かし、足で情報を稼ぎ、深く思考する、 一連のプロセスを体験していただき、コンサルティングスキルの血肉化を図っていただければ幸いです。ぜひ皆様のご参加お待ちしています。
片柳 将彰様

本講座の最大の特徴は、問題解決力の養成において、実践的であることです。講義内容やグループワークのお題が実際のコンサルティングワークをベースにしたものであることに加え、講師も現役コンサルタントまたは卒業生が担います。講義を通じ、実践することの面白さと難しさを感じていただけるはずです。例えば、「なぜその市場/企業は成長/衰退してきたか?」というシンプルな問いでさえ、これほど味わい深く、また、論理立てて解を導くことがこれほど難しいのかと感じられると思います。経営コンサルティングに興味がある方はもちろんのこと、実践的な問題解決力を身につけたい方におすすめです。

