2026年10月07日

【MBA】「ありがとう」と言ってもらえる店舗をつくる ― 株式会社ベイシア 相木社長ご講演

 

2026年9月17日、株式会社ベイシア 代表取締役社長の相木孝仁様をお迎えし、「A.T. Kearney実践コンサルティングプロジェクト」の受講生に向けてご講演いただきました。
本講演は、同科目で講師を務めてくださったA.T. カーニー株式会社の竹村文伯様のお声がけにより実現したものです。
「A.T. Kearney実践コンサルティングプロジェクト」では、食品小売業界を題材に、経営課題の分析や成長戦略の立案に取り組んできました。今回、その学びの延長として、実際に食品小売企業の経営改革を率いる相木社長から直接お話を伺う、大変貴重な機会となりました。
相木社長は、NTT、ベイン・アンド・カンパニー、楽天、鎌倉新書、パイオニアなどで幅広いご経験を積まれ、2022年にベイシアの代表取締役社長に就任されています。
今回の講演では、ベイシアで進めてこられた経営改革と、経営者として大切にされている考え方についてお話しいただきました。
中でも繰り返しお話しされていたのが、お客様に「ありがとう」と言ってもらえる店舗をつくることです。

「ベイシアに来る理由」をつくる

講演の前半では、ベイシアが進めているさまざまな経営改革についてお話しいただきました。
特に印象的だったのが、商品や店舗そのものの魅力を高める取り組みです。
ベイシアでは、プライベートブランド(PB)の改革を進め、価格だけではなく、おいしさや品質にもこだわった商品づくりを強化されています。また、新しい業態への挑戦や、これまでの出店方針にとらわれない店舗展開など、さまざまな改革を進めています。
改革の目的は、新しいことを行うこと自体ではありません。
「お客様に、またベイシアに来たいと思ってもらえるか」「ありがとうと言ってもらえる店舗になっているか」。
その問いを起点に、商品や店舗を磨き続ける姿勢が印象に残りました。

DXで、お客様にも従業員にも便利な店舗へ

もう一つ、経営改革の柱として紹介されたのがDXです。
ベイシアでは、AIの活用やペーパーレス化など、店舗や業務のさまざまな場面でデジタル化を進めています。
DXというと、業務効率化やコスト削減をイメージしがちですが、相木社長のお話で印象的だったのは、お客様だけでなく、従業員にとっても便利で働きやすい環境をつくることが重要であるという点です。
スーパーマーケットは、多くの従業員によって日々の店舗運営が支えられています。だからこそ、現場の負担を減らし、より働きやすい環境をつくることは、より良い店舗づくりにもつながります。
DXは単なるデジタル化ではなく、お客様と従業員双方にとってより良い店舗をつくるために欠かせない手段であることを学びました。

高い目標を掲げ、「できる」と信じる

講演の後半では、相木社長が経営者として大切にされている考え方についてお話しいただきました。
経営者に求められるものとして挙げられたのは、高い成果を持続的に出す力、強いチームを組成する力、そしてインテグリティ(誠実さ)です。
高い目標を掲げ、仲間を集め、信じて任せること。そして、困難な状況でも「できる」と信じ、前向きに取り組むことの重要性をお話しされました。
こうした考え方は、学生時代をはじめ、これまでのさまざまなご経験を通じて培われてきたものだそうです。
また、今回の講演を通じて印象的だったのは、こうした考え方だけでなく、相木社長ご自身のお人柄です。終始前向きに、そして率直にご自身の経験をお話しされる姿から、周囲の人を惹きつけ、一緒に挑戦したいと思わせる魅力を感じました。
「仲間を集め、信じて任せる」ということも、仕組みやスキルだけで実現できるものではなく、日頃の誠実な姿勢や人との向き合い方があってこそなのだと思います。
成果を追求しながらも、常に謙虚に、誠実であること。
これからさまざまな場でリーダーシップを求められる私たちにとっても、深く心に残るメッセージでした。

企業を動かすのは、「人と組織」

そして、今回の講演を通じて改めて感じたのが、人と組織の重要性です。
相木社長は、会社を取り巻く環境を理解し、自ら戦略について仮説を持った上で、社員とのコミュニケーションを重ねることを大切にされているとお話しされていました。
その中で、会社にとって今最も重要な戦略は何か、その戦略を実行するためにどのような人材や組織が必要なのかを考え、チームをつくっていく。
また、人を育てる際には、改善点だけではなく、良い点も含めて率直に伝えること。そして、人に任せ、成功体験を積んでもらうことで、成長を支えることを大切にされているそうです。

こうした一つひとつの取り組みを丁寧に、そして継続して実践していくことが、人を育て、強い組織をつくることにつながるのだと感じました。
戦略を描くだけではなく、それを実行する人を育て、その人たちが力を発揮できる組織をつくること。その重要性を改めて考えさせられる講演でした。

経営を「考える」ことから、「実行する」ことへ

「A.T. Kearney実践コンサルティングプロジェクト」では、食品小売企業を題材に、外部環境を分析し、課題を特定し、戦略を考えることに取り組んできました。
今回の講演では、その戦略を実際にどのように実行し、人を巻き込み、企業を変えていくのかについて学ぶことができました。
商品を磨くこと、店舗を変えること、DXを進めること、人や組織を育てること。
一見すると異なる取り組みですが、その根底には、お客様に「ありがとう」と言ってもらえる店舗をつくるという一つの目的があるように感じました。
経営とは、良い戦略を考えることだけではなく、それを人と組織を通じて実行し続けること。
相木社長のお話を通じて、経営を実践する上で大切なことを改めて考える貴重な機会となりました。
最後になりますが、ご多忙の中、貴重なお話をしてくださった相木社長、そして本講演の機会を設けてくださったA.T. カーニー竹村様に、心より御礼申し上げます。

KBS M48(修士2年)中田明依

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