田中 健司 君

テクノロジーとビジネスの両方を武器に新しい世界を切り拓く


田中 健司
ソニー株式会社 新規ビジネス・技術開発本部 | 社会人経験22年の後、経営管理研究科 Executive MBAプログラムに入学 | 国際交換プログラムで、米国ペンシルベニア大学ウォートンスクールに留学 | 2022年 経営管理研究科 修士課程修了

KBS/EMBAを選択した理由

私は 2017年から 2 年間仕事で滞在したシリコンバレーで、技術系ながら強いビジネスマインドを持った人たちと数多く出会いました。私も技術出身ですが、仕事のさまざまな場面でビジネススキルの必要性を痛感し、自費でKBSに入学しました。EMBAに集う、多様なバックグラウンドを持った人たちとのネットワークを拡げたいという想いもありました。実際私たちの年次にも、各領域から多彩な経歴を持ったメンバーが揃っており、それが充実したクラスやグループ議論、あるいはクラス外の厚みのある人間関係につながっていることを実感しました。

オンラインから対面へ

「1年目の授業はほぼ全てオンラインで開講され、友人ともオンラインでしか会ったことのない状態が続きました。2回の海外フィールド、国内外の著名な教授や経営者による講演も、オンラインセッションでしたが、結果的に多くの学びがありました。対面授業が始まった2年目には、1年目になかった対面の機会を取り戻したく、できる限り日吉に足を運びました。2年目の国内フィールドでは熊本県人吉市を実際に訪問でき、直接仲間と語らえることのありがたさを再認識しました。我々のチームで行なった地方創生のご提案は好評価をいただき、卒業後の今でも仲間たちと活動を続けています。

大きな学びの機会となった交換留学

米国での経験が入学動機の一つだった私にとって、2 年次 2 学期の交換留学も魅力的でした。中でもウォートンスクールはトップクラスのソートリーダーが集まることや、イノベーション力を高めるカリキュラムを提供していることに惹かれ、第一希望としました。また、会社を4ヶ月間離れても遠隔からプロジェクトを回し続けるための体制を作り、関係者からの理解と協力を得ました。コロナ禍で幸運にも実現した渡米は、年齢が20歳近く離れたフルタイム MBA 生の友人に囲まれての留学でしたが、出会いと学びに満ちた刺激的な経験でした。授業やグループワークで発言するのは勇気が要りましたが、教授や友人たちは常に耳を傾けてくれました。イノベーションのクラスでは、自分たちのアイデアを元にビジネスプランを作り、 ピッチプレゼンをしたり実際にwebページを作成して市場リサーチを行なったりしました。戦略論のクラスではチームで、ある航空会社の戦略分析に取り組んだのですが、その経営者にオンラインインタビューすることを提案し、私がコンタクトして話をうかがいました。多様なビジネスの現場に触れ人々と交流したことで、仕事ですぐにでも使えるアプローチを数多く吸収できました。また、交換留学生をはじめクラスメートとも仲良くなり、交流の場にできるだけ参加するようにしました。友人たちと一緒に食事をしたり出かけたりしたほか、私の自宅でお好み焼きを振る舞ったこともあります。彼ら彼女らの多くは、これからキャリアをスタートしようとしている世代で、私はその影響を受け、ごく自然な形で新たなチャレンジを始めるための原動力をもらいました。

個人研究を論文化する

留学中に何かまとまったテーマを掘り下げたいと考え、ITや労働が専門のPrasanna Tambe教授に指導をお願いして、大学時代からのライフワークでもあるバーチャルリアリティ (VR) が様々な職業に与えるインパクトについて研究しました。執筆中に助言いただいた、世界経済フォーラムのVR分科会委員も務めるセントラルフロリダ大学の Greg Welch 教授から、出来上がった研究を引用できないのか問われ、論文化に取り組みました。Tambe 教授との共著 "How Will VR and AR Impact Occupations?" は、社会科学分野の論文データベース SSRN (http://ssrn.com/abstract=4022827)から閲覧でき、多くの方にダウンロードいただいています。 また米国滞在中、飛行機が好きな私にとっては聖地であるカンザス州ウィチタを訪問し、セスナ社の友人から飛行機の製造現場におけるVRの活用について教えてもらいました。この内容を元に、上の研究の続編としてKBSでの個人研究を仕上げました。

EMBAの学びを通して得たもの

EMBA コースでの 2 年間は、職業人としての私に新しいツールを与えてくれるものでした。現在私は、会社で技術の戦略立案を行う傍ら、コーポレートプロジェクトをリードして技術開発とビジネス開発とを同時に行うというこれまでにないチャレンジに取り組んでいます。技術とビジネスとを同時に作っていくことは、私にとって今後もあらゆる場面で必要とされる力です。EMBAの学びを得たことで、新たな視点と様々な実行手段とを手に入れられただけでなく、大きな目標と深い洞察力を持った志の高い仲間と出会い切磋琢磨できました。米国にいた4ヶ月間は、さまざまな人との出会いを通して、彼らの考えやその背景を深く理解することができ、私が今後、技術とビジネスという両輪で新しい世界を切り拓いていくための糧となりました。出会いの数だけ自分の引き出しが増え、さらにそれが私の新しいチャレンジを後押しするモーメンタムになったと実感しています。学びの場を提供してくれた学校、共に切磋琢磨した友人、サポートしてくれた会社関係者、そして常に後押しをしてくれた家族。EMBA での学びを支えてくださった全ての方々に感謝します。


(大学での活動や寄稿内容は個人的なものであり、所属先の見解を示すものではありません)

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